昆虫を人間の役に立たせるということは、ミツバチやカイコのように大昔からやってきたが、この本は、昆虫の驚異的能力を人間のテクノロジーに応用させている事例が1冊まるごと紹介されています。
例えば、スズメバチからスポーツ飲料の「ヴァーム」を作った話なんか意外です。
またシロアリから、燃料電池用の水素を作り出す技術はもうびっくりだ。
他にも昆虫パワーを利用したテクノロジーについて紹介されているから読んでいて飽きない。
シロアリやゴキブリなど、いわゆる「害虫」まで利用している点も面白い。
ただ、読んでいて思ったのは、例えばP39のモンシロチョウを利用した生物農薬のところ。モンシロチョウから取り出した特殊なホルモンのことが取り上げられていて、このホルモンを使うと、幼虫は大人になれず、いつまでたっても幼虫のままにすることができ、黄熱病を媒介するカはいつまでもボウフラのままで、黄熱病を抑えることができるという内容なんですが、人間がこんなこと勝手にやっていいのかねえ〜、と思った。昆虫を利用したテクノロジーは面白かったが、裏にはかなりの危険性が潜んでいることを忘れてはいけないだろう。あまり調子に乗りすぎて傲慢になると、そのうち自然から痛いしっぺ返しを喰らうのではないか。
あと、蛇足だが、昆虫をテクノロジーに応用させるというのは、15年くらい前に、「頭にガツンと一撃」(新潮文庫)という本で初めて読んだのだが、この本は絶版なので、古本で読んでみることをお薦めする。(この本にはハエの飛行能力を利用して飛行機を開発しようという話が書いてありました)