奇跡の再建を果たした旭山動物園の実話をベースにした作品。まぁ、プロジェクトXを映画化したようなもんでしょうか。
動物園再建までのプロセスをなぞるだけでなく、動物・環境保護等、さまざまな問題意識を盛り込みつつ、人間ドラマが語られます。ともするとチープなサクセスストーリーになりがちなドラマを、ちょっといろいろ詰め込みすぎた感がしないでもないですが、悲喜こもごもな人情劇に仕立て上げています。
ひとクセもふたクセもある飼育係たち、若手飼育係とベテラン飼育係が持論をぶつけ合ったり、思い通りにいかない「繁殖」に飼育係が苦悩したり、園一丸となって再建案を実行へ移したり、ベタながらも重みのある展開に、長門裕之、六平直政、塩見三省、岸部一徳、柄本明らの演技が光っていました。
ただ、準主役ともいうべき吉田(中村靖日)が、いじめられっ子で人間不信だったことと、旭山動物園の再生と二重写しとなるような格好で、人間としての成長譚が語られます。この吉田の物語がイマイチ弱いのが惜しい。
というのも、人間として吉田が成長していく描写がほとんどなく、吉田を支える若手飼育係(前田愛)の活躍とかもイマイチ物語に有機的に絡んでこない。また、仲間の事故死の通夜の席で、吉田が暴言吐いたりするんですけど、これもなんだか唐突。
さらに、ラストで園長を定年退職するさいに、吉田の母からの手紙が披露されるんですが、全体的にベタな物語の中でも、これはあまりにベタすぎます。
不満な点も多いものの、それでもなおこの映画に魅力を感じるのは、制作者が伝えようとするメッセージに迷いがないからでしょう。