この本を読み終わった時、何ともいえぬ感慨に耽ってしまいました。
それは、舞台となっているのが、三河という私自身の生まれ育った地であったこともあります。三河弁で書かれた会話の部分は懐かしくもあります。そしてそれ以上に、ここに書かれた様々なエピソードは、子供の頃、母や祖父に聞いたそのままでした。この小説は、豊川工廠の悲劇がクライマックスとして描かれています。
私にとっては、その前に登場する三河地震の方が胸に来るものがありました。新聞にもまともに掲載されなかったこの地震は、作者も書いているように、「忘れ去られた地震」です。母は言いました。隣のお寺に疎開してきていた沢山の生徒が、倒壊した建物の下敷きになってshんでしまったそうです。
作者は、あとがきで言っています。私たちは、「豊かになれば幸せになれると」考えました。しかし、結果はどうだったのでしょう。豊かにはなったかも知れませんが、一方でモラルが崩壊の危機にあります。自分たちのしてきたことは正しかったのだろうかと不安になります。
やさしい文章で書かれたこの小説は、子供たちでも読めるでしょう。是非、読んで今後の新しい日本を作っていって欲しいと思います。