経営者向けの「初めてのIFRS」としてその「構成」と「ポイント説明」などの
実務家以外の初学者向けの工夫が良い。
これまで、財務経理の担当者としてではなく、あくまでゼネラルマネージャとして、
経営者視点でのIFRSによる影響とその幹となる全体像がわかるものを探していたが
専門外のため、これまで数冊買ったIFRS本は、ほとんどが
個別解説<例:繰延税金資産>がバラバラと並列に並んでるだけのようにしか見えず
「どいいった方針で現状の会社のルールまたは戦略そのものを変えていくべきか?」
という経営者としての問いに答えるための知識を知恵にできないていた。
本書もあくまで入門のガイド的な構成で、これだけでは不十分だとは思うが、
「本書の読み方」で対象者別に読むべき章が掲示されているのは、私のように
財務経理担当ではない人間にとっては無駄なストレスを受けずに済む。
ちなみに、本書によると経営者向けの必読の部分(下記◎部分)は第一部、
第二部(第三章のみ)、第三部となっている(計57項目中31項目)。
目次
第一部IFRSの前提
(第一章)IFRSの前提と三種の神器>◎経営者必読
(第二章)経営上の主要なインパクト>◎経営者必読
第二部 日本基準との差異とポイント
(第三章)IFRSの財務三表と関連資料>◎経営者必読
(第四章)資産・負債上の差異とポイント>△できればチャレンジ
(第五章)収益・費用上の差異とポイント>△できればチャレンジ
(第六章)連結決算とM&Aに関する差異とポイント>△できればチャレンジ
第三部 IFRSの導入へ向けて
(第七章)検討すべきシステムの前提と影響>◎経営者必読
(第八章)導入プロセスとポイント>◎経営者必読
あとがき 変革に必要なもの
実際は第二部(第四章〜第六章:26項目)が通常のIFRS本に書かれているメインとなる部分で
本書ではかなりコンパクトにまとめられているが、テクニカルにはわかってもその経営上の
影響度を図りづらいため、財務経理担当外の人間にとってはこれでも多少もやもや感は残る。
ただ、実際、この位の分量(182P)と構成(経営全般の幹に通じる影響度の大きなポイントが半分、
個々の影響(第二部に該当)も半分という配分が丁度良いと思うし、各章にぶら下がる
すべてのトピックの最初に「ポイント」という一言ポイント説明があるのは便利。
不明な箇所は他の本を参照しながら解決することになると思うが、残念ながら現在は
枝葉の説明を積み重ねた辞書みたいな本(おそらく実務家用、ということだと思いますが)
ばかりで、経営者にとってまとまった良書は見当たらないのが残念。
最後に、ビジネス誌の特集等で再三出ているように、IFRSの内容は全て確定したわけでは
なく、変化し続けているので、本書内容の全てを鵜呑みにすることなく、
アップデートだけには注意する必要がある。