藤村氏による捏造のことはニュースで知っていました。でもそれが、20年に渡り2000点もの石器を「遺跡」に埋め込んでいたという、極めてスケールの大きいものだったということを、この本を読んで初めて知って衝撃を受けました。「遺跡」そのものが、藤村氏によるでっちあげであったことも少なくないという。この本は、捏造発覚後の検証プロセスを丁寧に追いかけるという手法で、捏造がいかにして行われたのかを明らかにしています。土日祭日をすべて費やして現場を踏査するという藤村氏の努力と熱情が、歪んだ方向に向かった結果としての大がかりな捏造。その反面、考古学の知識の乏しい藤村氏による捏造は、極めてずさんで矛盾だらけのものだったことが後の検証で明白になります。では、なぜそれに専門の考古学者、マスコミは20年もの間だまされつづけたのか。なぜ藤村氏の子供だましであからさまな捏造が野放しにされつづけたのか。この本で反省を持って語られるその構図は、学問という営為が政治社会的な性格を強く持ち、それゆえにときに盲目になってしまうこともありうるという恐ろしさを警告しています。他の学問も人ごとではないはずです。捏造の検証に関する技術的な説明は、詳細ではありますが多少重複もみられ、私のようなずぶ素人にはちょっとくどいかなと思いました。でもそれを差し引いても、最後まで一気に読める面白さはありました。