画家、建築家、彫刻家と、多彩な才能を持つ、レオナルド・ダ・ヴィンチ。『最後の晩餐』などの作品は有名だけれど、その人となりは、それほど多く伝聞されていないと思う。史実や作品を通しての輪郭とかは、調べればある程度わかるだろうけれど。それにしても、そのダ・ヴィンチを名探偵に仕立てるとは。
当時の時代背景も、小道具も、舞台となるミラノとその周辺国との関わりも、美術、音楽、芸術、医学の当時の状況も、かなり盛り込まれている。贋作に使われる素材、なんていうのも、非常に興味深かった。
かなり資料を読み込んでいるんだろうけれど、でも資料の羅列にならず、ストーリーにさりげなく取り入れているところが、読みやすさになっているのかも。
本格的なミステリーなんだけれど、トリックや事件の謎解きに、ダ・ヴィンチの多彩な知識や才能が活かされて、その鍵は、結構身近なところに隠れていたり。
気まぐれで、理屈屋で、つかみ所がなく、それでいて非凡な才能を持つ人物。ダ・ヴィンチって、こんな人だったんだろうな、と妙に納得させる文章の巧さ。
歴史小説的な要素を多分に盛り込みながら、謎解きの醍醐味も味わえ、シャープで洗練された表現も多い。ダ・ヴィンチ以外の主要登場人物も好ましく、不可能犯罪と思われる事件を、最後にずばっと解き明かすダ・ヴィンチが格好いい。