◆「忘れられた右腕」
ナポリ大使の秘書官が、大枚をはたいてミラノの美術商
から、古代ローマ時代の作品とおぼしき彫像を購入する。
ルドヴィコは、秘書官から彫像の警備を依頼され、ミラノ王宮の衛兵をその任
に当てるのが、なぜか右腕だけを残し、彫像は忽然と消え失せてしまう……。
冒頭でチェチリアが遭遇する出来事から、あっさり真相を見抜く人も
いると思います。しかし「なぜ右腕だけが残されたのか」という問い
に対するスマートな逆説的解答は、やはり素晴らしいです。
◆「ウェヌスの憂鬱」
大聖堂八角塔の設計案選考会が行われている
旧宮殿で、建築家が一人の詩人を殺害する。
建築家は、ある女性との関係をネタに脅迫されていたのだ……。
殺人の場面から始まるという倒叙スタイルの作品。
お約束の物理トリックに加え、叙述トリックやダイイング・
メッセージなど、多彩な趣向を堪能することができます。
また、本作が本書の掉尾を飾るという構成が採られることで、
叙述トリックを、より効果的に機能させているのが秀逸です。
◆「愛だけが思いだされる」◆「窓のない塔から見る景色」◆「二つの鍵」