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旧ソ連地域と紛争―石油・民族・テロをめぐる地政学
 
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旧ソ連地域と紛争―石油・民族・テロをめぐる地政学 [単行本]

廣瀬 陽子
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

ソ連解体により独立を果たした旧ソ連構成一五共和国、とりわけコーカサス諸国は数多の民族紛争を抱え、またカスピ海の天然資源や地政学的位置の重要性ゆえに、ロシアおよび欧米諸国がその影響力を保持しようと当地の紛争、政治・経済に深く関与するため、その混乱の度合いは厳しいものとなっている。本書では、旧ソ連地域の国際関係・内政問題の文脈を押えつつ、特にコーカサス/アゼルバイジャンの事例に沿って、「紛争予防」や「人間の安全保障」といった平和構築への取り組みを検証する。

内容(「BOOK」データベースより)

本書では、旧ソ連地域、とりわけコーカサス/アゼルバイジャンの事例に沿って、9.11以降めまぐるしく変転する国際関係や続発するテロ、石油・ガスなどの天然資源をめぐる覇権争い、さらには宗教・民族問題やナショナリズム、権威主義体制といった当地の内政問題に焦点をあて、平和構築の阻害要因を詳細に検証。紛争の予防と、「人間の安全保障」について考察する。

登録情報

  • 単行本: 376ページ
  • 出版社: 慶應義塾大学出版会 (2005/10)
  • ISBN-10: 4766411927
  • ISBN-13: 978-4766411928
  • 発売日: 2005/10
  • 商品の寸法: 21.2 x 14.8 x 2.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
この本はアルメニア・アゼルバイジャンなどコーカサス地方の専門家である廣瀬女史の書いた、純然たる学問書である。

間違っても、下の方の言うように、この本を読んで平和についてなどというように、倫理的に考えるのは難しい。

つまり、この本の書く内容はタイトル通りの中身である。

つまり、地政学。

旧ソ連地域、とりわけコーカサス地域を中心とした、カスピ海の石油を巡る米露の競争や、

アゼルバイジャンとアルメニアの係争点となっているナゴルノ=カラバフという民族問題におけるロシアの関わり、

あるいはテロ対策機関としての名目を持ったコーカサス4やGUUAMといったロシア・アメリカお抱えの組織の勢力争い、

つまり米露の勢力争いなどが論じられている。

と言っても陰謀論のようなものを期待してはならない。

学術論文と認識して挑むべきである。確かに下の方の言うように、一つの国際機関というものを

「平和のための、偉〜い機関なんだ!」と認識していた方にとっては、

平和機関とされる組織が覇権主義に利用されている事は新鮮かもしれない。

しかし、それを知るために読むのであれば、おそらく本書は難解に過ぎるか、膨大な労力を要する。

又はコーカサスという地域研究からして、興味をそそらないだろう。

「正義の嘘」を知るならば、アメリカ覇権主義の嘘を描いた…

そう、ムーアか、難しくてもチョムスキーを読めば充分ではないだろうか。

この本の特徴はむしろ、コーカサス地方を研究対象にしている点にある。

ナゴルノ=カラバフ問題と聞いてピンと来る方は日本の中にどれだけいるのだろうか。

その分岐としては、古いところでは佐藤信夫氏の

「ソ連邦解体と民族問題」あるいは「ナゴルノ=カラバフ」を読んで知っているかどうかであろう。

本書では、著者はナゴルノカラバフそれ自体を研究対象としてはいない、としながらも、

その専門家の書物として、ナゴルノカラバフ最新事情を知るのにおそらく最良の書物である。

(西村めぐみさんがもう一冊書いているようであるが、残念ながらそれについては知識がない)
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By カスタマー
形式:単行本
 2004年に発生したロシア南部、北コーカサスの北オセチア共和国ベスランでの小学校占拠事件は、チェチェン独立派武装勢力によるテロとして記憶に新しい惨事だ。この事件では、1000人を超す女性や子どもが監禁状態に置かれ、結果として、300名以上の死傷者を出す大惨事となった。同様に、2002年には同じくチェチェン独立派武装勢力によってモスクワの劇場が占拠され、数百名の一般市民が死傷した。
 また、昨年来、ウクライナの「オレンジ革命」がメディアを騒がせている。毒を盛られ、端正な顔立ちが変形するまでに深い傷を負ったユーシェンコ大統領の姿は痛々しくも力強い民主的な指導者として、「民主国家」とされる国々のメディアにおいては好意的に報道されている。また、グルジアの「バラの革命」や、キルギスの「チューリップ革命」など、近年、こうした民主化をめざす有色革命が相次いだことから、今後も、旧ソ連諸国において、「革命のドミノ」が生じるのではないかと予測されている。 
 もちろん、かつての帝国ロシアもそうした状況を黙って見過ごしているわけではない。プーチンは、特に軍事的・経済的側面から当該地域に対するロシアの覇権を維持しようと、ブッシュが掲げた「テロとの戦い」の御旗を巧みに利用し、連邦内におけるさらなる分離・独立の阻止を正当化しようと試みる。あるいはすでに独立を果たしたCIS(独立国家共同体)各国における「民主革命」を阻むため、コーカサス4やGUUAMといったCIS内部におけるサブ・リージョナルグループを設立し結束の強化を図った。また中国とともに上海協力機構を設立し、中央アジア諸国との連携を強化するなど、同じく天然資源の獲得や軍事拠点の構築をめざすアメリカの当該地域への影響力の低下を目論んでいるようである。
 こうした状況について、遠い島国にいるわれわれは、メディア報道によって、事件や政変それ自体はしばしば耳にし、いまなお、チェチェンや南北オセチアといった紛争が止むことなく続き、日々、無辜の市民の生命が奪われていることぐらいは何となく知っているつもりになっているが、その背景には、当地の宗教・民族問題や、石油・ガスなどの天然資源をめぐる大国間の覇権争い、あるいは分離・独立をめざす武装集団による過激なテロといった複雑きわまりない無数の問題が幾重にも交錯して存在しているという、具体的な内実の部分を知る機会はなかなか得られないのが現状である。
 われわれは、あまりにも簡単に、「平和」という言葉を口にする。だが、いまこの瞬間にも、「平和」や「希望」を心の底から希求している人々がいる。この本を読んで、私は、われわれが口にする「平和」と、彼らが口にする「平和」という言葉がもつ意味のあまりの落差に愕然とした。そして、われわれが漠然と当為のものと考えてしまっている「平和」への道のりが、当地の人々にとっては、いかに遠く険しいものなのか、考えさせられた。      
 本書は、「平和」とは決して他人によって与えられるものではなく、国家間のパワーゲームに委ねられるしかないものでもなく、それを希求する市民、一人ひとりの意志によって築かれていくものなのだ、ということを知る契機となる良書である。
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