日露戦争には確かに勝った。しかし、「ようやく勝った」ことを当時の国民は知らない。いや、知らされていなかった。これは、マスコミの責任が大きい。戦勝を煽った新聞は、戦争により恩恵を受けた。大幅に販売部数が伸びたのだ。「ようやく勝った」 ことを知らない一般大衆は、ポーツマス条約の内容には、我慢できない。一般大衆は、家族や親戚に戦死者、戦傷者を持つものも多い。国民の払った犠牲は、日清戦争の比ではない。その大衆の不満に「火をつける」輩もいた。そして、日比谷焼打ち事件が発生する。
サブタイトルである「勝利のあとの誤算」は、本書のスタンスを良く表している。池辺三山(朝日新聞)、「ニコポン宰相」といわれた桂太郎、その愛妾お鯉等の人物への掘り下げもあり、面白い読物となっている。