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日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (岩波文庫 緑75-1)
 
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日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (岩波文庫 緑75-1) [文庫]

横光 利一
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

新感覚派の驍将として登場した横光は、つぎつぎと新しい小説形式に挑戦したが、戦争によって不幸にも挫折した。だが現在の文学状況の中で、横光の試みは今もなお課題たりうる多くのものを含んでいる。表題二作のほか「火」「笑われた子」「蝿」「御身」「花園の思想」「赤い着物」「ナポレオンと田虫」の初期短篇と「機械」を収める。(解説=保昌正夫)

登録情報

  • 文庫: 300ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1981/8/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4003107519
  • ISBN-13: 978-4003107515
  • 発売日: 1981/8/16
  • 商品の寸法: 15 x 11 x 1.5 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 54,109位 (本のベストセラーを見る)
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言葉の強さ 2003/9/27
By mousike
中学生の時、教科書で「蠅」を読んだ。
その印象が頭から離れず、10年以上たった最近この本を買いました。
文章はシンプル、無駄を省いている様な。しかし描かれている情景が映画のように、くっきりと次々に浮かび上がってくる。
日本語の力強さと同時に、温度や湿度まで味わえます。
文学は苦手な人でもすんなり読めます。
このレビューは参考になりましたか?
18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
新感覚派の旗手、横光利一の代表的な短-中篇をまとめた作品集。志賀直哉に私淑し川端康成を盟友とする横光ですが、真摯な思索を重ねて独自の作風を探り、彼らに匹敵する作品を発表しました。斬新な表現、実験的な試みには今なお新鮮さと説得力があります。
『日輪』『蠅』は横光のデビュー作。前者は卑弥呼をめぐる古代の男たちの闘争を独特なリズムの台詞と硬質な文体で描いた雄大な作品。面白いのですが、やや気負いと硬さが感じられます。後者は蠅の視点から微細な描写が積み重ねられるモンタージュ的な作品ですが、最後の数行で破滅的な結末へと集約し、目の醒めるような鮮やかさがあります。
『機械』はヨーロッパ心理主義文学の影響の下に書かれています。しかしその技法は慎重な考究によって厳しく鍛錬され、新たな問題を提起するに到ります。文章は一人称の「私」によって書かれているのですが、精密な心理描写によって客体化されてしまい、それではこの物語を報告する主体は何者なのだろう、と考えさせてしまう。「私」や「自由意志」といった概念の虚構性が肌で感じられて、ちょっと怖くなりました。
『春は馬車に乗って』『花園の思想』は著者の体験が核になったある種のサナトリウム文学ですが、このジャンル特有の青臭い過剰な詠嘆が苦手で、個人的には馴染めませんでした。ただし、両者は同時期に書かれていながら対照的な作風であり、終盤に「恍惚として」という言葉が互いに異なる意味合いを匂わせて用いられているあたり、最初から一対の作品として構想されていたように思えます。このように私小説的な主題を非私小説的な技法で表現みせるのは、やはり横光らしく思えます。
その他に『火』『笑われた子』『赤い着物』等。いずれも簡素でありながらどこかシュールで、著者の非凡さが窺われます。
新感覚派のみならず近代日本文学の歩みを知るには避けて通れない一冊。ぜひ一読をお奨めします。
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12 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By daepodong VINE™ メンバー
 有名作、あるいは代表作と、最高傑作は異なる。本作品集は横光利一の有名作品ではあるが、所詮(と言ってはなんだが)初期作品である。ここから作家として長いキャリアをはじめた横光が、ここに収められている作品以上のものを作っていないわけがないではないか。
 そういう観点からこの作品集を眺めてみると、また違った見方ができるのではないだろうか。本作品集中で注目すべき作は、小林秀雄も激賞し、また大作「日本文壇史」を書いた伊藤整が日本文学の中で最高に近い評価を与えている「機械」である。この「相対心理主義」(伊藤整)的な作風をその後横光が放棄してしまったのはどうしてなのだろうか? もうひとつ内容として優れていると思われるのは「春は馬車に乗って」である。堀辰雄らの結核文学に繋がる内容であるが、リアリストの横光の眼は厳しく、また筆致は辛い。
 この作品集をお読みになり、彼の文学に興味を惹かれた方は、やはり大作「旅愁」へ進まれるのが筋だろう。しかし、個人的には横光の最高傑作は疎開中の出来事を淡々と描いた「夜の靴」であると考えている。他人の評価をもはや気にする必要がなくなった大家の実力が遺憾なく現れている大傑作エッセイである。
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