著者の作品を読んだのはこれが初めてで、
擬古文というものにも慣れていなかったため、
はじめのうちは何と読み辛い本だと思いましたが、
作品の「神聖」な内容と擬古文が相まって、
徐々にその世界観に呑まれていきました。
作中の歴史的な背景や、
哲学的なテーマが伝えんとすることは
よく分かりませんが、
「日蝕」と「一月物語」に
共通して語られる主人公の鮮烈な「体験」の描写が、
個人的には大変印象的でした。
著者の言葉を借りて表現すれば、
世界を見ている私自身が、同時にその一部であるような感覚
を、私も人生で一度体験した記憶がありますが、
いまだにあれはなんだったのかと思い返すことがあります。
この2作品の特殊な世界観を通して、
真っ先に思い出したのはその時のことで、
主人公たちの奇妙な世界を追体験するような感覚で両作を読み進みました。
個人的に難解な部分はありましたが、
それ以上に非常に印象に残る作品で、
著者の他の作品にも手を出してみようと思えました。