日蓮聖人の書簡・語録の抜粋集です。
何しろ、古文に近い原著を読むのは難しい。
紀野一義先生による、立正安国論と書簡の部分訳が、中公クラシックスから出ていますが、これは法華教学に多少は通じていないと読みにくいものでした。
比べると、抜粋した語録に解説を加えた本書は、創価学会の教学の混入に気をつけつつ読む限り、非常に分かりやすく日蓮思想を伝えてくれます。終末の預言者、洗礼者ヨハネのようなイメージの日蓮聖人ですが、信徒への心遣いは温かみに満ち、日蓮聖人というより、村のお寺の日蓮さんという感じの、実に親しみやすい人格をうかがわせます。
編集出版が創価学会というだけで、読むに値しないと非難する人もいるんでしょうが、創価学会系、第三文明社のレグルス文庫に入っている仏教学や心理学の学術書なんて、大学出版会刊行なら数千円のものが、新書判ですが千円ちょいで手に入ります。良いものは良いのですから、この安さを見逃す手はありません。