第2次世界大戦当時世界最強を誇った戦艦大和。その大和が唯一敵艦に向けてその主砲を放ったのが1944年10月25日のサマール島沖海戦であった。この海戦で大和は空母を含む敵艦3隻を撃沈、空母2隻を含む敵艦3隻を撃破したと認められ、海戦後に功績抜群と評価された。しかし戦後に判明した米側の損害と比較すると上記の評価は適切ではなく、実際の所大和の挙げた戦果はもっと小さいものであったことが明らかになっている。
本書は、サマール島沖での大和を含めた栗田艦隊の砲雷撃戦による戦果を、日米双方の資料を詳細に追っている。砲撃戦に関する記述はかなり詳細であり、また資料性も高い。ただ全般としてはややボリューム的に薄い感があり、読む所は100ページ強しかない。本書の価値は第2部の「兵器学教科書・九四式四十糎砲塔」にあるのかもしれない。いずれにしても一般の読み物としては価格の割に読む所が少なく、ある程度本格的に研究したい研究者向けの著作といえそうだ。