本書は、日清戦争を「社会史」的側面から論じたものである。
当時の民衆がどのように日清戦争を認識していたのか。演劇、祝祭、遊戯などといった面から戦争を見た、言わば、「下(民衆)からの日清戦争」と言った内容である。
各章で取り上げられているテーマは、それぞれ興味深い。ただ、多くの話題に触れているため、エピソードの羅列に陥っている感がある。人々が盛り上がった部分だけを見て、「国民」が誕生したと結論付けても、説得力は弱い。個々の現象が「日清戦争」という大事件において、どのように位置づけられるのかという考察が必要ではないか。
評価をまとめると、教科書とは異なった視点から論じているため、一般書としては(そこそこ)面白い。しかし、この分野を勉強している人にはあまり目新しさは感じられないのではないかと思う。