明治維新後から太平洋戦争敗戦までというのは、司馬遼太郎が日本の歴史のなかで前後の時代と断絶してしまっていると評した時期。本来なら、学校教育(特に義務教育)で戦後とならんで子供たちに最も教えなければならない時代だと思います。議会や政党、内閣のあり方や靖国問題など、現代の課題に通じる事柄も多く、学ぶべきことが多い時代。それゆえに、新書形式でシリーズ化して取り上げた企画そのものを評価したいと思います。
さて、第3巻である本書。
本の範囲は、帝国議会発足から韓国併合までの約20年です。日本が国のカタチを整えつつ、外交(もちろん戦争も含めた)によって列強の一員になっていくプロセスを淡々と解説します。
歴史上重要な事柄(絶対に抑えておくべき事件)とそうでもないものの表現のメリハリがあまり利いてなく、予備知識なしで読んでいくのはかなりしんどいと思います。また、文章も客観的な(冷静な)表現に終始しており、歴史的事実と筆者の主観的意見が見極めにくい点には注意が必要です。それだけに、単純にこの頃の歴史をなんとなく知りたい、という人には情報が多すぎ、偏った歴史観をもたないよう、読者にそれなりの知識と読解力が求められると思います。(著者が語る歴史観が至極偏っているという訳ではないので、気にすることもないとは思いますが)
本書の内容については、タイトルの割に「日清・日露戦争とは(日本にとって)なんだったのか」という点について掘り下げが足りないように思いましたが、新書という限られた紙幅と近現代史を一気に振り返るというシリーズのコンセプトからすればやむなしといえましょう。
本シリーズで関心事を見つけて、類書で掘り下げていく、という読み方がいいのだろうと思います。