日活時代の『殺しの烙印』『けんかえれじい』『刺青一代(←ソフト化熱望)』と並ぶ代表作として名高い本作が、HDリマスター版にて廉価再発。
(この価格設定は本当に助かる。余談だがこの商品には松竹の廉価版のチラシが封入されており驚いた。日活以外も含め旧作邦画の廉価再発が続いており楽しみだ)
まず冒頭。流れ者ジョーが街で暴れる。ビックリするようなカット割に大胆な音楽の連続…!。素晴らしい滑り出し。1963年(←50年近く前だ…)の段階でこんなぶっ飛んだセンスを見せ付けていたのか!といまさらながら驚く。
有名なガラス張りのクラブ(キャバレー?)や床。スクリーン越しの事務所。黄色い荒野。プラモデルだらけの部屋。次々と現れる奇怪な画面。
エキセントリックな登場人物達がまた素晴らしい。どれもキャラクターが立っている。しかもほとんど悪党ばかりなのだ。そのなかでニコリともせず抑揚のない低音で早口にしゃべる宍戸錠はやはりカッコいい。
ストーリーも凝っており、二転三転し緊張感が途切れない。ラストもどんでん返しが強烈だ。まさしくブラックなラスト。
(ラストについて…。例のスダレにされた残酷なカットが本当に存在したのかどうか…。一般映画にする条件として映倫にカットされたといわれるが…。だが、おそらく在ったのだろう。当時の清順の発言からすると…。その後の発言でははぐらかしているけど)
90分少々の上映時間で徹底的に作りこまれた本作は、1963年2月から3月の一ヶ月程度で撮影され4月には公開されている。短時間でチャッチャッ(?)と作られたにも関わらずこのクオリティーの高さは本当に驚きだ。…ついでに、現代からの視点でみると60年代初頭の東京(おそらく渋谷近辺)の風景も興味深い。高架を走る東急電車や車窓越しだが玉川電車(路面電車)もみえる。
今回はHDリマスターということで前版(2001版)と見比べたが、輪郭やディテールは幾らか良くなった。(例えば冒頭タイトルのバックなどかなり違う。警察手帳の文字もかなり見やすい。等々)変色していた箇所や発色も多少改善している。但し、繰り返すが50年近く前の映画である。驚くほど高画質というほどでもない。
そのほかの仕様についていえば、映像特典は予告編のみ。前版についていた解説やスナップ類はなし。
そんなわけで、前版をもっている場合に買い直すかどうかは微妙なところかもしれない。良心的な価格設定ではあるのだが…。(いつの日かマニア向けブルーレイが出ることを祈るが)
ただ、初見のかたや前版を所有されていないか方には(素晴らしい価格も含め)お勧めできる。
悪魔的なハードボイルドの傑作だ。