中学校の公民では日本には三権分立があることを習い、それを疑いなく暗記する子供が優秀とされます。それ以外の日本の権力構造は誰も教えてくれません。新聞を毎日熟読してもそんなことはまったく書かれていません。日本人が自国の社会の仕組みを知るのはすべて自力でしなければなりません。本書のような外国人による著作で知ることになるとはある意味残念です。著者は近年
誰が小沢一郎を殺すのか?画策者なき陰謀で知りました。本書は1990年に初版が出されました。書籍の賞味期限はその品質に比例すると思いますが、2011年現在文庫版への加筆があるにしてもその分析の秀逸さは20年のときを経てむしろ輝きを増しているように思います。
上巻では日本の権力システムを維持する管理者(アドミニスレーター)の存在を解説した後、「農協」、「労働組合」、「新聞」、「暴力団」、「政治」、「電通」、「司法」、「官僚」の成り立ち、構造を丁寧に分析しています。現時点でもこれほど詳細な社会分析がなされている書籍を私は知りません。日本の雇用に関する記述など一部は時代の変化とともに当てはまらない部分が見られることは読み手の知力で十分補えるでしょう。
日本の学者が自分らの無能を自覚して本書を教科書に教育を行えば、日本人の新たな可能性が芽生えるように思いました。しかしながら、システムと密接に結びついている教育機関にそれを望むことは難しいのかもしれません。その意味で、時代を超えて読み継がれるべき名著だと思います。