「大砲入門」などの著作もある筆者による本で、本書に皮切りにシリーズ的に刊行されてゆくようです。
同じ筆者には陸軍火砲に関する優れて網羅的な「日本の大砲」がありますが、こちらは絶版になって久しく、GP誌の連載も中断されている(むしろ本書に統合されたと見るべきでしょうか?)ので、本書の価値は高いと言えるでしょう。
基本的な構成は、各砲ごとに一項をたて、開発経緯や技術的な特徴を説明しているために、頭から読み進めて通史として読む以外にも辞書的に使用することが出来きます。また巻頭に概説として、陸軍火砲に関する基礎的な説明を行ってる一章が付されており、この点も初心者の方には有益でしょう。テーマが高射砲だけに絞っていることもあり、高射砲に関して言えば、全体に「大砲入門」よりわかりやすい本になっているようにも思います。
完結していないシリーズでこうしたことを言うのは早いのですが、むしろ本書から始まるシリーズを通読した後に「大砲入門」を読んだ方が、日本陸軍の火砲に関して、それぞれの特徴と全体像を把握しやすいのではないかとさえ思います。
写真や図面も豊富な点も魅力的ですが、一部の図版が見づらくなっているのは残念です。これは文庫本の体裁では、やむを得ないところでしょうが。
この点をもって本レビューでは☆4つとしていますが、これは安価な文庫で出版されたこととのトレードオフなので、費用対効果を考えた時には☆5つ以上の評価とする人もいるでしょう。