日本プロ野球の名監督、記憶に残る名選手、外国人選手、ベテラン現役選手、MLB経験者、バラエティーに富んだ錚々たるメンバーに対して、『ベストゲーム』を選んでもらうインタビューであり、非常に読みごたえがある。
イチローがほとんどの人が観たことがないであろう高校時代の愛知県予選を選んだのは彼らしいといえるが、現役選手が『ベストゲーム』を選ぶのは難しいのであろう、KK、松坂も高校時代の試合を選択している。
『80年代以降』という縛りがあるため監督経験者は監督時代の試合になりがちであるが、80年代に現役だった落合、山田は現役時代の試合を選択している。現役は高校時代を、監督は現役時代を語るというのも興味深い。
また、野村、秋山、斎藤などは意外な試合について語っており、まず、どの試合が選ばれたかで楽しめる。
試合内容についても、野村、古田は配球について、原、秋山、落合はターニングポイントとなったシーン、山田、掛布、バースは特定の選手、チームとの対戦を昨日の試合のように語っており、プロの野球に対する執着と野球観を垣間見ることができる。
ただし、以下の3点を指摘しておきたい。
まず、各人に割かれているページが少なく感じる。佐々木が2ページ強というのは少なすぎる。プロがベストゲームについて問われれば延々と語ってそうな気がする。
つぎに、イニングごとのスコア、メンバー、勝ち投手等新聞に記載されている程度の情報は載せてほしかった。野球ファンであれば、それらをみれば試合の記憶を呼び戻しながら本書を楽しめたはずだ。少なくとも、中途半端に文字で試合経過を書く必要はなくなる。
最後に、94年10月8日を『メークドラマ』の完結としていること。
メークドラマは、シーズン最終戦が優勝決定戦となった94年ではなく、11.5ゲーム差をひっくり返した96年の優勝への過程を指すのではないか?
瑣末なことかもしれないが、この手の編集にかかわる人は野球オタクであって欲しい。