本書は、渡部昇一氏による「日本の歴史」の5〜7巻で扱う時代を、まとめて通史にした書である。とはいえ、ビクトリー・ジャスティスからも自由な分、より中立かつ客観的な内容といえる。
周知のとおり、太平洋戦争も開戦の最大要因は、日露戦争直後からのアメリカによる反日政策にあった訳だが、その過程において、日本の側もどこをどう間違ったのか、そのポイントを明確にしていることがわかる。
まず、対露勝利で得られた満鉄を、ハリマンとの共同経営にすべきか否かを巡る交渉の対立、これが第一の岐路だった。
また一方で、大陸中国に対し対華21ヶ条要求を突き付ける高圧に出る訳だが、後の相手国のロビー活動からすれば、これも間接的には日米対立を促進することになった。即ち当時の中国に主権国家としての尊厳を認めない一方、門戸開放政策も是としなかったことが、自国を自ら追いつめたともいえよう。
そして決定的だったのが、ファシズム国家との同盟だった訳で、これには総力戦の悲惨をそれまでに学べなかった事とも関係があるだろう。もちろん前後した仏印進駐の経緯についても、詳しく記述してあり、この頃まではまだ「対話」の余地が残されていたことも示唆している。
こうして日本は、米英中に大敗する訳だが、周辺地域での「植民地システム」の破壊が「予期せざる結果」だったこと、戦中と戦後では軍事面でしか「断絶」しなかったこと等は、本書にも共通している見方だった。
ちなみに、前掲書の7巻への拙稿で触れた「日本がアメリカへの憧れから離れられないようにするイメージ戦略」の件は、本書から得た見解である。