この国は辺境であり、日本人固有の思考や行動はその辺境性によって説明できるとして、辺境人として生きる術(すべ)とその可能性をあえて多様なテーマを扱いながら“辺境”という共通項を引き出して論考を企てる。本著は大上段ではなく軽いフットワークで逃走するひと頃の逃走論のようでもありますが、サブカルチャー的スタンスで析出する楽しい教養本ともいえます。
赤塚不二夫の「これでいいのだ!」とまではいかないけれど、本著でくり広げられる現実肯定論はありふれた楽観論などとはまったくちがっていて説得力があり信憑性も高い。だから、いつの間にかゴミだめのようになった頭の中をスッキリと整理させてくれるようでもあり、凝り固まった思考の筋肉がほぐれる心地もします。だから、おもわず「そうかぁ、これでいいのかも!」と少し元気にもなってくる。
辺境人の「学び」については、紹介された「張良の逸話」や落語の「こんにゃく問答」のくだりもおもしろいけれど本当にいろいろ考えさせられた、というか腑に落ちるところが多々ありました。
虎の威をかりる狐のように辺境人は「学び」の効率を考える能力を本質的に備えているらしい。したがって、辺境人は師を選ぶことをしない。即ち学ぶ人の意思(考え方)や師との関わり方、その態度で決まるという大変まっとうな結論にいたる。これはすごい。