最近まで、日本の自給率が低いという事に何の疑問も持っていなかったので
本書の冒頭に説明があった自給率の計算方法や自給率といっても種類が
あることがわかって驚いた。
確かに、ここのところ農業について色々な本が出ていて、その中では
本書で指摘があるように過激なタイトルがついた本も多く、
いまいち信用にかける感じを抱いていたが、本書は冷静に農業を多面からみて
これからの農業政策について提言を行っている非常に有益な良書と思います。
特に、今の政策の悪い面を強調するのではなく、その政策が出来上がった
歴史的背景、そしてそこから見える問題点から未来への提言を行っているので
納得がしやすかった。
農業とは生きることに直結することで、他の生産品によって失っていいもので
はないと感じる。だからこそ国全体で維持していく方法を一生懸命考えていかないと
いけないのだろう。本書で一番同意できたのは、自給率を上げることを
目標にするのではなく、いかなる場合も供給が確保できるカロリー(本書では
1日一人、約2000kcal)を維持する事が、国の食料安全保障での1番の
プライオリティであるこという部分である。色々議論はあると思うが
いたずらに自給率だけを目標に上げると見失うものもきっとあるのだろう。
また、本書でいうとおり、農業政策で局面が一気に打開できるような特効薬も
ないだろうと思える現在の状況から、将来を見据えて一歩ずつ着実に
これからの農業を支えていかないといけないと感じる。
政策文書からの引用があり、少し読みにくい部分もありますが、日本の農業の
原点と今実際におこっている農業の実態を把握するには、最適の本だと感じるので
新聞などでの解説よりもっと踏み込んだ内容を求めている人にはお薦めできます。