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14 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
国民性によって戦争に向き不向きがあるのか,
By hehehehe "FSMJ" (横浜市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 日本軍の小失敗の研究―現代に生かせる太平洋戦争の教訓 (光人社NF文庫) (文庫)
チャーチルによれば、戦争とは大小の失敗の壮大なカタログであるそうだ。世界で一番戦争上手なアングロサクソンの首魁にして、このような意識を持つのであるから、我が国にいたってはなにをか言わんやであろう。敗戦までの致命的な大失敗をあげればきりがないし、既に言い尽くされた感がある。ところが本書では、あえてそういった日本軍・政府の大失敗には言及せず、歴史に記録されない些末な失敗の積み重ねに焦点を当てている。意欲的な著作である。ただし著者の専攻からか、視点は工学的な分野に集中しがちで、宣伝惹句にあるような「文化人類学」的アプローチは、やや希薄なように思えた。たとえば、軍人の独特の価値観、意思決定のプロセス、戦術評価の仕方などにはどのような特徴があったかなどを、名人英米の場合と比較すると、文化人類学的に立体的な像が浮かんでくるのではないだろうか。 おしなべて茶屋酒と芸者を好んだ高級軍人たちは、米英の兵士はダンスパーティーにうつつを抜かす軟弱ものだとあなどっていたふしがある。この世界像はどこから学んだのだろうか。また、島崎藤村作とされる「戦陣訓」の中の問題の一節「生きて虜囚の辱めをうけず」について、この敢闘精神の文学的表現が、絶対厳守の法令文のような拘束力を持たれるにいたった経緯など、大失敗にいたる小失敗は文系の分野でもまだまだ数多くある。
18 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
日本軍の小失敗を通して日本を知る,
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レビュー対象商品: 日本軍の小失敗の研究―現代に生かせる太平洋戦争の教訓 (光人社NF文庫) (文庫)
陸軍と海軍がベンツ社の同じエンジンに別々にライセンス料を払い、それぞれが別の会社に製造を命じていたのは現在の省庁間の対立を彷彿させる。また、パイロットと航空機を確実に失う特効攻撃は、ヒューマニズムを持ち出すまでもなく、実務的合理性の上から非効率的だと言える。その他、誰にでも操作可能な機器を開発するより名人の育成に重点を置いたこと、航空機工場と飛行場が数十キロも離れていたこと、民間人や女性を活用しなかったことなど、これでは米国に勝てないと思える事例が数多く紹介されている。米国の物量作戦によって日本は負けたのでなく、思想、思考方法、精神性、あるいは文化の点で既に負けていたのだと思う。日本の経済力や資源が米国に勝っていたとしても、戦争には負けていただろうと思った次第である。
5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
優良反証可能性,
By 広島花子 "お藤" (広島市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 日本軍の小失敗の研究―現代に生かせる太平洋戦争の教訓 (光人社NF文庫) (文庫)
良き理論とは、非の打ち所のない不動の真理を語るものではなく、反証する場合にどれだけ容易であるかどうかで決まるのだ、と聞いたことがあります。太平洋戦争を語る場合、この命題はあまり守られることがないように思うのは私だけでしょうか。何故日本は負けたのか。という問いかけに、負ける戦いをしたから。と答えるのでは答えにならないのは明白です。しかし、多くの“敗因”なるものがこれと大同小異の所を行ったり来たりしているように思えてなりません。圧倒的な物量差、合理精神の有無、人命観の格差、確かにそうです。このような極めて“正しい”結論に反論するのはとても難しい。ですが、反論が難しいということは、その実内容が空虚であるということの証左でしかないのではないでしょうか。このような国民性に根付いた問題はどこの国でもあることでしょう。「日本人やめますか、戦争勝ちますか」では困るのです。その点を上手く補っているのが本書の最大の良点です。確かに、本書でも“正しい”結論や反論が難しい正論が基調になってはいますが、それを示す事例が卑近な例から採られている事によってそれは相殺されています。私が興味深かった例を少し挙げるなら、三八式歩兵銃の部品交差が決められていなかった、ひとつのエンジンのライセンスを陸海軍別々に購入していた、日本の重砲は移動のための車輪が木製だった、など巨視的な戦史ではどうでもいい様な小ネタの数々です。しかし、ここにこそ当時の軍隊が何を尊び、何を賤しんだかが如実に現れているように思います。しかも、ここまで具体化された指摘には反論が容易であり、私の疎覚えでは本書への反論書が一冊はあったと記憶しています。それに指摘された問題点は、その具体性から、明日からでも自分の職場で、学校で、家庭で、自分の小失敗として意識できる。そう利用してこそ本書は役に立つものであると思います。
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