文学や言語学とは違う切り口に、「なんとなく感じているけど、うまく表せなくて、でも無視もできない」ともやもやしていたことが、よほどハラに落ちるだろうと期待したのが甘かった。
新書というボリュームの制限のためか、ちょっとした雑談的呟き(意図的かどうかはわからないが)が、本筋のブレとなってひびいてしまう。語感というサイエンスとヒューマニティーズのあいだには大きな可能性が隠されているだろうに、「にっぽん主義」で埋め尽くされている。
発音の仕組みなども、ただ地の文で書いてあるのも残念。従来の言語学をこえたビジュアルな表現はできないものか。氏の開発したプログラムを多少でも紹介することはできなかったのか。
西洋には語感、音色感の研究がない、と氏は述べているが、トマティス・メソッド、人智学(なかでも言語オイリュトミー)のことは知らないのだろうか。
これだけ新書がたくさん出ていると、同じ新書でも、アカデミックさを保持している往年の中公新書あたりと比べると質がだいぶ違うことに驚かざるをえない。