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日本語の源流を求めて (岩波新書)
 
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日本語の源流を求めて (岩波新書) [新書]

大野 晋
5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

日本語は、いつ頃どのように生まれたのか。「日本精神」の叫ばれた戦時下、「日本とは何か」の問いを抱いた著者は、古典語との格闘から日本語の源流へと探究を重ねた。その途上で出会ったタミル語と日本語との語彙・文法などの類似を語り、南インドから水田稲作・鉄・機織などの文明が到来した時代に言語も形成された、と主張する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

大野 晋
1919年東京に生まれる。1943年東京大学文学部卒業。専攻、国語学。学習院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 273ページ
  • 出版社: 岩波書店 (2007/9/20)
  • ISBN-10: 4004310911
  • ISBN-13: 978-4004310914
  • 発売日: 2007/9/20
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.5  レビューをすべて見る (10件のカスタマーレビュー)
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By 紫陽花 VINE™ メンバー
形式:新書|Amazonが確認した購入
「タミル語=日本語起源」説を唱える大野氏が、国語学者を志した経緯から、タミル(インドの南部地方)語との出会い、タミル語と日本語との比較検討、そしてタミル文明が古代日本に与えた影響などを纏めたもの。これまでの大野氏の研究の集大成とも言える書。

日本語は現在アルタイ語族の仲間とされているが、大野氏はアルタイ語族の中に日本語の基本単語と一致性を持つ言語がない事に不満を持っていた。そして、出会ったのがタミル語である。大野説は学界では異端視されているが、本書でも述べられている検討内容で、私が魅力を感じるのは以下の点である。

(1) 両者で一致する多くの基本単語(外来語とは異なる)の中に、日用語は勿論の事、日本独特の情緒に関する単語(「あはれ」等)、「稲作」・「鉄」に関する単語が数多く含まれている点。これは、タミル文明の移入によって日本に稲作及び鉄器の使用技術が導入され、同時に基本単語・文法の面で強く原日本語(=縄文時代から存在していた)に影響を与え、これによって弥生時代の幕が開いた事を強く示唆する。
(2) タミル地方には紀元前に成立した「サンガム」という歌集が残っており、この文法構造(五七五形式)が万葉集と酷似している点。つまり、文献レベルで古代タミル語と古代日本語との比較が可能であり、かつ結果が「係り結び」と言う特殊な要素を含め文法的な一致性を示している点。こうした古代の文献レベルで比較できる(日本語に近い)言語は他に存在しない。タミル語と日本語の近縁関係を否応なく想定せざるを得ない。
(3) インド南洋から日本への遥かな旅路を思い浮かべる時、その壮大な"夢とロマン"に圧倒される点。

 本書の後半では年中行事・風習の一致性に関しても論じているが、これらは東アジア全体で共通のものも多いであろうから、例示された全ての事象をタミル文明の影響と言い切る是非の判断が難しい。タミル語が、日本語と朝鮮語の共通祖先という説はタミル文明の流入経路と相まって興味深い。

私は大野説に関する本は既に数冊読んでいるのだが、本書は新書版と言う事を考慮した上で、研究成果が体系的に整理され、かつ重点が詳細に分析されている点に感銘を受けた。「学問に年齢は関係ない」とは良く言われる言葉だが、本書執筆時、大野氏は88歳である。周囲の雑音に負けずに自説を追求する信念の強さに改めて感心する。そんな大野氏の研究を集大成した夢とロマンに溢れた画期的な日本語起源説。
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7 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:新書
日本語学者としての著者の業績と名声にはすでに赫々たるものがあった。その著者が日本語に対応する語を多く持つタミル語という南インドの言葉に出会ったのは60歳になってからであった。評者は「ドラヴィダ語」(タミル語はこれに含まれる)というまるで耳にしたことのない遠い国の言葉に日本語との類縁性があるという著者の論を新聞で目にしたときはそのあまりの途方のなさに驚いた記憶がある。しかし言語学者として深い研鑽を積んでいた著者は並み居る同学の冷ややかな反応をものともせず、現地のタミル語学者たちの教えを乞いつつ着々と研究の歩を進めた。たしかにその後の25年間を通じて、人間は古代から驚くべく広く遠く、放浪、漂流を続けたことへの認識が深められている。しかし評者には真に驚くべきことはそのような認識の深化に著者が発表する研究業績が一役買っているとさえ思えることである。
本書は僅か270頁ほどの小さな大著である。それは明晰ではあっても読みやすい本とはいえない。それは一般読者に向けられた本ではあってもそれ以前に出された2冊の学術的著書を踏まえている。著者は少年時代から「日本とは何かについての自分なりの答えを書くこと」を希望していたという。その希望は日本語の研究に始まりついには考古学の世界にまで著者を導き入れたのである。
著者は日本語の源流をたどって、タミル語が日本語のどこにどのように重要な位置を占めているかをおおよそ明らかにするという偉業を達成した。それは凡百の論者を登壇させ続けてやまない「日本人論」にも貴重な示唆を与えるものである。そればかりではない。著者の主張にはまた、タミル語の伝来は水田稲作を伴っていたというもう一つの大きな論点が付随している。当然ながら、本書をこの二つの論点を中心として読み終える読者は多いだろう。しかし本書はまた、著者大野晋の生涯をかけた研鑽の足取りでもあり、その通りすがりの光景に惹きつけられる人も少なくないだろう。
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ビブリオン トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:新書
日本には、昔から進んだ外国文明の波が何度も押し寄せてきました。わが国には無かった形而上的な考え方から日用品にいたるまで、諸物が輸入され、また同時にそれらを表現する新しい「ことば」も、もたらされました。こうして「日本古語」を低層にして、その上に時代と共に到来した色々な外国語が重層的に折り重なり、現代の日本語が形づくられてきたそうです。著者は、この層構造の2層目に南インドのタミル語があった筈だと考えています。このことを、タミル語と日本古語との「ことば」の比較、またタミル語使用地域の遺跡・遺物などと日本のそれらとの比較を通じて、証明を試みています。また伝播はタミル人が直接来たとしか考えられないそうで、彼らが、紀元前千年ころに日本に渡航することが可能だったことも証明しようとしています。

著者の言語比較法が厳密なのか、頻用される言語学の規則や2言語間の変換規則が一般的なのかは、よくわかりません。しかし「ことば」の意味、内包の表現は驚くほど明晰です。基礎語の意味を明確に確定する優れた基礎作業の上で、初めて可能な比較法だと思いました。

著者は、高校生の時に「カミ」とか「ミイツ」の意味に疑問を抱き、それがもとで、言語研究の道に進んだそうです。タミル語研究から、著者は、その答えを見つけています。
古事記冒頭でのカミの記述で、「隠身也」を宣長は、「身を隠したまいき」と読みましたが、著者はタミル語の意味も参照しながら、「かくりみ(隠り身)にましましき」(カミは最初から姿は見えなった)と読み直しています。とりわけこの点はすごく刺激されました。

明快な仮説を立て、それを証明するために、視野を広くもち、既成の学問の常識に捉われることなく、研究に全力を尽くす。そういう生き方をした個性が強い一人の研究者の研究歴として読むと、本書は、後に続く人達を励ます書になります。
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大野説は系統論ではない。 0 2008/05/01
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