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日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で
 
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日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で [単行本]

水村 美苗
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (61件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

商品の説明

第8回(2009年) 小林秀雄賞受賞

内容紹介

豊かな国民文学を生み出してきた日本語が、「英語の世紀」の中で「亡びる」とはどういうことか? 日本語をめぐる認識の根底を深く揺り動かす書き下ろし問題作!

登録情報

  • 単行本: 330ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2008/11/5)
  • ISBN-10: 4480814965
  • ISBN-13: 978-4480814968
  • 発売日: 2008/11/5
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.6 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (61件のカスタマーレビュー)
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91 人中、72人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 <普遍語>の力の前で, 2008/11/13
By 
shibchin (熊本市) - レビューをすべて見る
(VINEメンバー)   
レビュー対象商品: 日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で (単行本)
本書のテーマは、「英語が<普遍語>として圧倒的な力を持ってきている状況下で、日本語が<国語>として生き残れるか」である。「英語が重要」であるか「言語の多様性を守れ」であるかの単純な意見の表明が多い中、さすがは、12歳の時に父親の仕事の都合でアメリカにわたり、しかも、中学生の間は毎日日本文学全集を読むことだけが楽しみであった、という著者、現象と問題点を的確に捉えて、意見の違いを越えた論陣を張っている。著者の思いのたけが溢れ出ている文章は迫力があり、一気に読んでしまった。

著者は言語を<普遍語><国語><現地語>という三階層でとらえている。<国語>は<現地語>が国民国家の成立期に国家との相互作用で標準化して作られたものである。しかし、一旦<国語>ができると、各<国語>に対応した文化・文学が成立する。それは、<現地語>では成立し得なかったものである。我々が無意識に使っている<日本語>は<国語>と<現地語>の二つの面を持っており、<普遍語>としての英語の台頭(言語学的には何の必然性がないが、英米の力と、そして、インターネットの普及期に頭一つリードしていた偶然による)の時代に<国語>としての側面が大いなる危機に直面していると警告し憂えている。

このインターネット時代では、知的レベルの高い人々は<普遍語>を読むことができるのが当然になってくる。そうすると、マーケットの圧倒的に広い<普遍語>で彼らが表現するようになるのは、これまた当然になってくる。その結果、<国語>での表現はどんどん貧弱になり、文学を支えられなくなる。そして、やがては近代日本文学ですら、その価値を理解する人が少なくなり忘れ去られる。これが、著者の言う、「日本語が亡びるとき」なのだ。もちろん、<現地語>としての日本語は残るだろう。しかし、文化・文学を失った言語なぞにどれだけの価値があろうか。近代日本文学を心の底から愛する著者には、その亡びが耐えられない。危機感を持たない日本人が情けない。その気持ちが、冷徹な分析と論理に裏打ちされて書き綴られている。

私も大学での教育の中で、日々この問題を突きつけられている一人である。著者は、科学はそもそも<普遍語>の世界なのだから、英語で教育をして、英語で発表すれば良いのであり、ことは単純である、と片付けている。ところが、実はそうでもないのだ。科学教育を英語でするとなると、科学にアクセスできる人間が限られる。そうすると、国民全体の科学リテラシーは確実に落ちる。そしてそれは、技術者のレベルを確実に落とすことになる。科学研究ならそれでいいかというと、実は科学は幅広い国民の興味に支えられているので、国民の科学リテラシーが低いと研究のレベルも上がらない。例えば、フィリピンでは科学の高等教育は英語で行なわれているのに研究者のレベルは日本と比べて高いとは言いがたい。わが国が、非欧米で唯一、国内の研究で科学系ノーベル賞受賞者を輩出しているのは、日本語でかなりのレベルまでの科学教育が行なわれているからなのだ。ところが、実際に学生を研究者として育てようとすると、科学教育が日本語で行なわれているハンディキャップは非常に大きく、現場では英語での教育の充実を主張してしまう。まさしく、<普遍語>と<国語>に引き裂かれた自分。著者の文章の中に自分を見、そして強い共感を感じた所以である。

本書では、対策の提案もあるが、それはきわめて難しい問題であり、これが正しい提案であるのか、そもそも対策があるのかすら、私にはよく分からない。それでも、英語が<普遍語>としてインターネットとともに世界を覆うと言うことがどういうことなのかを、説得力を持って描いているだけでも、本書は多くの人々、国語・文学にかかわる人々、英語にかかわらざるを得ない人々、に読まれるべきである。強く推薦します。
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12 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0 高踏的、情緒的な私物語, 2011/7/30
レビュー対象商品: 日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で (単行本)
どうも読後感のよくないものが残った。学ぶことも、なるほどと思わせられたところもいっぱいあるのに、どこかにいやーな感じが付きまといました。たぶん、文章の中に著者のエリート主義のようなものが透けて見えたからではないかと思います。

 日本語の存亡を取り上げて論じるなら、もっと論理的に書いてほしかったと思います。文章がとても”痛い”です。人が前面に出た、突き刺さるような文章を書いています。しつこいくらいに「繰り返して言うが」的な文章があります。そうでなくても、しつこい文章なのに。もし、論理的に書くことは問題でないというなら、小説家らしく、もっと味のある文章で書いてほしかったと思います。いかにも行き届いた文章を書いているように見えながら、小説にしても、評論にしても、東京帝国大学発だけのものに偏ってはいませんか。これが小林秀雄賞とはおどろきましたが、思わぬところで納得しました。そういえば、日本の賞の類は学会に至るまで仲間内の戯言のようなものでしょうか。

 一言でいえば、本書は、
  ☆非論理的
  ☆情緒的
  ☆上から目線的
  ☆文学趣味的、それも明治文学や古典
 
 あと一つ付け加えれば、著者の文章には構造的に破たんしているものが多すぎやしないかと思います。また、改行の仕方などにも疑問を感じました。
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9 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 残念ながら、これが現実だ, 2011/9/7
By 
しらかばばやし - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)   
レビュー対象商品: 日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で (単行本)
 私はこの本を、ほぼ全面的に賛同しつつ読み終えた。
 
 近代日本語は「国語」として発達し、西洋先進国のあらゆる文献を翻訳して取り入れながら、世界水準の学問や文学を担ってきた。しかし英語が「普遍語」となった今、学問や知的思考は英語で行われるようになり、それ以外の言語(日本語もフランス語も)は高度な学問や文学が行われない「現地語」に成り下がるだろう、というのが著者の考えである。
 残念ながら、これこそが現代の世界における現実である。最先端の研究や英知は、英語で書いて英語で発信され、いちいち訳される間などなく英語で直接読まれるようになるだろう。どんな立派な研究も主張も、日本語では世界の誰も読んだり聞いたりしてくれない。そうなると日本人の最先端知識人は、論文や文学を日本語で読み書きすることはなくなり、最初から英語で書かれるだろうから、日本語では世界的な論文や著作は書かれることがなくなる。すると、英語でなければ世界水準の知的思考に触れることもできなくなるのだ。
 こんなことは、学問や研究の最先端にいる人や、世界的企業で働いている人ならば、とうに気づいていることだろうが。実際今や、分野によっては英語で論文を書くことが普通のこととなっている。また、現在最も「現地語」化しているのは報道の分野であろう。日本の新聞やTVは、バラエティ分野のみならず普通の報道においても質の劣化が著しい。NHKニュースを20年前のそれと比べてみよ。高度なニュースは減り、どうでもいいようなニュースを長々とやっている。対象とする視聴者の知的水準がものすごく低いところに設定されるようになったのだろう。

 この本を読んでいれば、東大が9月入学を検討中というニュースも、「さもありなん」と納得できるのである。世界水準の研究や学問を行う場であれば、言語はもちろん制度も「普遍語」水準でなければやりにくいだろう。日本人の9割に英語はいらないなどという本が売れているようだが、逆に言えば「残りの1割」には英語が不可欠なのである。東大は世界水準で学問やビジネスを担う「残りの1割」を養成すべき日本の最高学府なのだ。

 この本は、少しでも知的にものを考えたい人ならば全員が読むべきである。最低でも大学生の間までには読んでほしい。この本に書かれたことこそが、今後日本人が生きていく世界の現実なのだから。
 著者の主張にケチをつけている人も多いが、反論はどれも的外れであり、著者の指摘する厳しい現実を認めたくなくてグダグダと見苦しい言い訳をしているに過ぎない。

 ただしこの本、最後の章だけは何故かとても不出来である。そうした英語の世紀の中で日本はどうすべきか、ということを論じているのだが、日本人が英語が出来ないためにビジネスや政治の場でどれだけ不利な状況にあるかを述べたと思ったら「英語を公用語にする必要はない」という。ここまで述べてきて何でそんな結論になるのか? 英語が普遍語なのだから、少なくとも上級公務員や大企業の幹部候補生は英語必須でしかるべきではないのか?
 そして「日本の教育は日本近代文学をしっかり読ませろ」と3度もしつこく主張するが、気持ちは分かるものの前後の文章とうまくつながっていない。しかも読者が当然聞きたいと思う「英語の普遍語化の中で日本人の英語教育をどうすべきか」については、あまりはっきり書いていない。
 何かこの章、うまく考えがまとまらなかったのか、書き急いだのか? 落ち着いて推敲し、改訂版を出した方がいいのではないかと思ったほどだ。
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