本書は『虚々実々』の書名を変更して再出版しただけのもので、佐高の文章は解説程度に約10頁しか無く、本編が約300頁続くのであるが、これで佐高を著者と併記するのは噴飯ものだと私は感じた。
同様の『高杉良経済小説全集』で、佐高の名は(編集)で括られているし、文庫本等の巻末に解説を載せた人を著者としたものを私は知らない。
日航の時代背景や内容紹介されており、解説としては有用であるものの、購入者の過大な期待を払拭しているとは言い難く、これではとても「第1部」としては不足だろう。
本所は未だ存命であるにもかかわらず、対談や執筆に関するエピソードもなく、小説自体も本書は95年の文庫版を単に再録しただけでは芸がなさ過ぎるし、91年の新書版とともに中古ながら販売中で入手可能な事もあり、今や沈みきった日航が佐高の鋭い筆致でぶった斬られる文章を望む読者に「あざとい商売」と揶揄されても仕方がないだろう。
小説については、題名そのままに「互いに策略を尽くし、相手のすきをねらって必死で戦うさま」を、政府与党・官僚・財界人・プロパー役員・天下り役員・労組・メディアがそれぞれに繰り広げるさまが、事実に至近なフィクションとして描かれ、今もそう変わらぬ腐敗を推察させる。
本の作りをボロカスに書いたが、第1部の解説は、小説読後の再読によって、更に味を出すことは書いておきたい。
『沈まぬ太陽』とかぶる場面もあるが、それを映画化する際にも日航は敵対した位だから、本小説のように内幕をさらけ出されては訴訟に及ぶだろうが、本作こそ映画化されれば、深みのある邦画となるのではないか。
☆については下げても良かったが、小説の再版と割り切り、内容重視で大きく減点しなかった。
今後も『〜の正体』と企業内幕シリーズを出す予定らしいが、本書と同じ形式で、読者の期待を裏切る作りにだけはしないで貰いたいと最後に強く願う。