雪舟の展覧会だったか、ミュージアムショップをうろつきながらこの本を手に取った。その場で立ち読みしていると結構おもしろそうだと思わず購入。山下裕二・赤瀬川原平両氏による対談形式の美術鑑賞本なのだが、なるほどこういう風にみれば日本美術も特別のものではなく身近に感じてくる。
光琳の「紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)」を巡って、例えば、こういう具合だ。
これは最晩年の作品で、込められた意味をめぐっていろいろな解釈が唱えられてきたんです。私が好きな小林太市郎という学者は“嬲(なぶ)る”という字を絵画化したものである、という説を唱えていますね。左右の木が男で、真ん中の川が女性だと。左の男がオッパイを触ろうとしていて、右の男がチンチンを出しておしりにせまろうとしているっていうんです(山下)。なるほどね。言われてみるとそういう気がしてくる(赤瀬川)。ずいぶん昔の解釈なんですけど、光琳とスケベは切っても切れないと思いますね(山下)。僕は暗黒舞踏と思ったけどね。いや、でもその解釈はすばらしい(赤瀬川)。
内容としても、雪舟、等伯から縄文土器や根来塗の器までとその幅は広い。とりわけ、“乱暴力”というキーワードが示され大活躍する。本著では、そのおもしろ鑑賞の物指しで、雪舟や等伯らが次々と測定される。伝家の宝刀“乱暴力”とは何か。そいつは信用できるのか。大胆不敵な美術鑑賞法を示す本著は、北斎を背景にして学ランを身に着けた応援団長の表紙がその魅力とおもしろさを如実に物語っている。美術サポーター必読の一冊。