今後、日本経済に危機を抱いている我々庶民に対して、株式、FX、金、外貨MMF、各種通貨などなど具体的な資産防衛の手段を指南してくれている。エコノミストとして視野の広い著者の見識が垣間見える良書である。
ただし、私は一箇所が気になった。投資信託の紹介で
「投資のプロに任せられるところが、一般の投資家にとっては安心です。」(101ページ)とある。
かつて、この日本で自身の体で汗水流して働いてきた小金持ちの方々が、貯蓄から投資への世間の流行のもと、証券会社や銀行の販売窓口で勧められるままに投資信託を購入し、今では かなりの含み損を抱えてしまい、「投資信託」の名前を聞くだけで、ニガニガシク思っている人が相当数いるはず。私の身近でも、そうした80歳代の方がいるが、その人は「投資信託で、今では600万円ほどの含み損を抱えている。」と、最近話を聞く機会があった。80歳代ともなると、世界経済が回復して、自分が持っている投信の基準価格が購入時のレベルに戻ってくる頃には、自分は、この世にいないであろうと不安に思われているのである。
投資信託とは客である我々が、利得を得ようが、損失をこうむろうが、そんなものに関係なく、投信の販売者や資産管理会社は「プロが運用する」として、既定の手数料を受取る仕組み。しかも、資産管理の内実の全てを、完全には公開されていないため、実際には10%の利益が出ていても、末端の客には「5%の利益しか出ていない。」と主張しても通用する世界なのである。投信を勧めるには、こうした危険性を指摘すべきであろう。
著者は、投信を運用・管理する会社員と、何らかのつながりがあるから、こうして投信を勧めるのであろうと私は推測する。
本書は、この点を除けば、書籍自体も比較的廉価であり、今後の資産防衛に具体的な手段として、参考になる内容と言える。