・・・資本主義を経て、社会主義、共産主義に至るというマルクスの唯物史観は、世界史レベルのもので、プロレタリア革命が、イギリス、アメリカかのような先進国家で起らずロシア、中国のような後発国家で起きたのは、マルクスの史観に対する反例にはならない。
こういう主張がいかにもマルクスを真に理解したセオリーであるかのごとく語られていた時代がある。
ソ連が崩壊し、中国が市場経済に移行したいま、こういう主張は完全に説得力を失ってしまっている。中国やロシアで起きた革命をどんな(思想的)文脈で語ろうと、その実態が、産業経済化(テイクオフ)初期の資本蓄積を国家の手で強引に行うことで英米のような先進国に追いつこうという試みにすぎなかったのはもはや明白である。
中国やロシアのいわゆる”プロレタリア革命”は、この資本蓄積を国家の手で行っても、ブルジョアジーの手で無計画に行われた場合に比べ、人道的にも効率的にもならないことを証明したにすぎない。
また産業経済化が進行すれば自然に、国家は”人民”を尊重する"民主的”国家になる・・・という主張も、現在の中国を見ていると安易に正しいとは言えない。
言えるのは、どんな国家でも、ある程度の経済的成功を納めているかぎりクーデターは起こらない、ということだ。
ソ連崩壊、中国の市場経済化以後の世界経済の現状を前に、いまどきこのような史観に基づいて経済史を語る学者がいるとは思わなかった。
時代錯誤を通り越してグロテスクでさえある。