本書は、バブル崩壊後の処方箋として徹底的に積極財政を主張していたリチャード・クーの最新作である。
今の日本がおかれた状況とこれからの懸念材料を二つの切り口から鋭く切り込んでいる。
一つは、今や最大の問題となりつつあるサブプライムローン問題である。もうひとつは、グローバリゼーションの流れである。
著者によれば、今世界中が置かれている状況は、大恐慌以来最悪であるという。
わが国ではあまり大きくは報道されていないのが不思議に思えるが、サブプライムローンのうち優遇金利が終わった部分はまだ全体の半分に過ぎないという。それに加えて、アメリカの住宅バブルが崩壊してしまった今、サブプライムよりもはるかに大きなプライムローンの焦げ付きがこれから増加していく可能性が高いという。
以上を踏まえた処方箋としては、日本のバブル崩壊とその回復に至る過程を例にしている。
すなわち、資本の傷ついた銀行に思い切った資本注入するとともに、積極的な財政出動を主張する。
著者は、バブル崩壊後の日本の対応を大いに評価している。この点は、今の日本の先進国中最悪といわれる財政赤字に落ちいてしまったのが、この時期に多額に行われた公共工事であるという多くの通説と異なるところが興味深いところである。
もうひとつの危機である、グローバリゼーションの流れに対する処方箋は、日本にとってのグローバリゼーションは中国であるとして、1970年代の日本が台頭してきた当時の西欧諸国にたとえ、世界に向けて新しいものを作れる人たちを作るために独創性を生かすような教育改革が必要であるとしている。
おそらく、これからやってくる大恐慌危機への処方箋は、バブル崩壊後の日本をはるかに越えたところにある。国内の狭い世界で、総裁選などをやっている暇などはない。