<本書の概要>
日本経済の問題->デフレ、資金需要不足、低成長、社会保障費の増加
解決案->供給側強化、規制緩和、輸出強化、法人税減税
<問題認識について>
今、日本は需要不足のデフレであり、行き場のない資金が国債を買う
方向を向いているため、国債のバブルが発生していると説いています。
<解決案>
供給側を強化し、日本の重い規制、年功序列制度を見直して雇用流動
性の強化、法人税を減税して企業を海外から呼び込む、広く薄い税制で
徴収という提案をしています。
<全体を通して気になる点>
1.抽象度がバラバラ
本全体を通して言える事ですが、「デフレ」というマクロ経済の話を
していたら、「企業努力による供給側の強化」という個別例が対応策
として提示されたり、議論のレベルがバラバラです。通してみると
具体的な数値やグラフを示しているところから、概要だけ説明して
裏づけがまるでない、など説明レベルが不統一に感じます。
2.提示根拠が薄弱
例えば、「年功序列批判」の箇所ですが、まず、日本が年功序列である
という比較データが必要だと思いますが、「日本=年功序列」と検証なく
議論がスタートしております。日本の給与・年齢分布は世界的には別に
特別ではない、という反論を過去に見たことがありますが。類似の問題
点が多数あります。
3.論理の飛躍
例えば、「国債のバブルが発生している」と述べている所は、単に事態の
推移と観測を述べているだけで、バブルが何で、その状況に当てはまるか、
というプロセスを追った議論がありません。このように定義や相関関係が
曖昧な論理構成が多く見受けられます。
<個別の気になる点>
・デフレなのに、規制緩和、供給強化で経済好転を見込んでいる
・日本は内需牽引国だが、政治利権(全体の何%?)を理由に内需拡大を嫌気
・赤字国債アレルギー。ナンセンスなプライマリバランス黒字化に固執
・財政再建のためにはPBを逸脱する必要の考慮と柔軟性がない
・企業内失業者含め14%以上失業の日本で雇用流動化は大丈夫なのか
・提言の政策を実行するとむしろ社会保障費が増大しそう
・そもそも日本の法人は赤字企業が多いので、法人減税は効果薄
・法人減税と需要増にそもそも連動がなさそう(いざなみ景気参照のこと)
・世界中が外需争奪戦を繰り広げている現状に対して外需増大策が貧弱
・提言を全て見ても「需要増大」からピントがずれ、数値根拠も不足
・日本が外需で復活できる根拠に2008年の外需増を提示。あれこそバブル。
<同意できる点>
・日本の経済問題が需要不足に起因するデフレであること
・社会保障費の増大を抑制する政策の必要性
<まとめ>
リフレ派、積極財政派の問題認識に、新自由主義派の解決案を無理やり
くっつけた印象。前段と後段が精神分裂的にも見えます。以前は消費税
推進派だったような気がしたのですが、本書では「景気回復の後」と
言っています。私の認識違いでしょうか?