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日本経済のウソ (ちくま新書)
 
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日本経済のウソ (ちくま新書) [新書]

高橋 洋一
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「日本は国家破綻する」「デフレ不況は量的緩和では回復しない」「増税しても景気は良くなる」などなど、日本経済はウソだらけ!日本が長い不況から立ち直れない理由は、日本独自のおかしな定説にこそあった。日本経済が復活するためには、ウソだらけの定説を見直し、もっとも効果的な経済政策を行なわなければならない。大恐慌からリーマン・ショック、そしてギリシャ破綻まで、世界の常識に照らしながら、日本経済のウソと真実を克明に解き明かす。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

高橋 洋一
1955年東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。80年、大蔵省(現・財務省)入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員などを経て、2006年から内閣参事官。07年に特別会計の「埋蔵金」を暴露し、一躍、脚光を浴びる。株式会社政策工房代表取締役会長、10年より嘉悦大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 222ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2010/8/6)
  • ISBN-10: 4480065636
  • ISBN-13: 978-4480065636
  • 発売日: 2010/8/6
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (8件のカスタマーレビュー)
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著者の高橋洋一氏は、他にもいくつかの新書など読みやすい本を出版して啓蒙活動に熱心な元財務官僚です。元は数学科の出身というやや異色の経歴を持つ著者は、官僚の世界の論理と合わずに霞ヶ関を去った過去があります。
著者は基本的には同じ主張を複数の著書で繰り返し述べていますが、本書もその一つです。
そんな著者の(特に本書で強調される)基本的な立場は以下の2つかと思います。

1、マイルドなインフレは、日本経済にプラスであり、日銀はそのために金融緩和を積極的に行なうべきである。

2、「政府や中央銀行は、なるべく個々の経済活動には介入せずに、個々の経済主体に平等に効果のあるマクロ経済政策だけやるようにしたほうが、結果としては国の成長力を伸ばすのではないでしょうか。」(本書p.222)

著者の経済学的な立場として最も基本となるのは、おそらく2の方であり、日経BPから出ているM・フリードマン『資本主義と自由』の解説を著者が書いていることからもそれがうかがえます。

著者は、基本的には市場の自律性を信頼し、機会主義的・個別対応的な産業政策や政策金融などよりも、全ての経済主体が同じ条件で競争する方が、市場経済の果実は最大になると考えているようで、その結果として生じる不平等には負の所得税(最低課税収入以下の人には、勤労所得と最低課税収入との差額を給付=マイナスの所得税)などで対応すべきとします。

そんな著者ですから、官僚や日銀のおこなう、「特定産業を『成長産業』として優遇するような政策」にはきわめて批判的です。その理由は、天下りの温床になる事、企業家でもない素人の政府(政治家・官僚)や日銀が直接経済活動に介入しても上手くいくわけがない事などを挙げます。

要するに、複雑で非効率的な公的部門のあり方は、結局、不公正な歪んだ経済のあり方に繋がるということで、競争市場のあり方もその失敗を補う公的部門のあり方も、簡素で効率的かつ明示的で誰に対しても同じ条件で適用される事が重要ということです。

さて、そうした立場に基づいて、1のようないわゆる「リフレ」が主張されるわけですが、2%程度のマイルドなインフレが日本経済にプラスであるというのは、

・名目利子率がゼロ近傍であってもさらに実質利子率(名目利子率−インフレ率)を低下させて企業の(設備)投資を拡大する。

・円高是正(購買力平価でもみても金利平価でみてもよい)

・名目経済成長率が現在の2%程度から4%程度へと上昇する(著者によればOECD諸国の中で4%の名目成長率は決して高い水準ではなく達成可能だという)と、税収が増加し、成長率が長期国債金利を上回るので、財政再建の道が見えてくる。逆に、現状のせいぜい2%の名目成長率とデフレ傾向では、財政再建には増税しかなくなり、経済はさらに落ち込んでいく。

以上から、デフレをもたらしている日銀の金融政策が批判されます。曰く、日銀はデフレを問題視すると口ではいいながら、実際の金融政策の成果は−2〜0%のインフレ率であり、しかも、それをテイラー・ルール(有力な金融政策運営のルールの一つです)の恣意的な書き換えによって正当化しようとしている等等。
デフレは、実質利子率の高止まりから(設備)投資を減らし、円高から輸出を減らし、賃金下方硬直性から雇用を減らし、債務負担の増大から企業経営と国家財政を圧迫するなど、デメリットが強調されており、その脱却には日銀の大規模な金融緩和が最も効果的だとします。
財政政策も貿易と資本移動の自由化(開放経済)の下では、金融政策と合わせなければ効果は薄く、財政赤字を計上するだけです。

その他、自らが当事者として渦中にいた郵政民営化についてや、2009年〜2010年の民主・自民の経済政策についても書かれており、財務官僚として細かい事情を知る著者ならではの本といえるかと思います。

ただ、デフレの原因については、経済の専門家の中でも意見が割れており、他にも内需不足や生産性低下などを原因とする人もいます。特に、リフレ派に対して向けられる、「日銀が大規模金融緩和してもデフレは脱却できない。そもそも企業側に資金需要がなく、貨幣の流通速度が低下しているからだ。」という批判に対しては、「それでもデフレにしないためにはマネー供給するしかない」という著者ですが、これは日本の将来の産業構造が依然として製造業中心なのか、それとも内需関連(金融業含むサービス業)中心なのかという事とあいまって、議論になるところでしょう。

いずれにせよ、本書のリフレの主張よりも、経済政策は各人に対して平等に、明示的に、効率的になされるべきという主張の方が、実はこれからの日本のあり方を考える上で重要であると私には思われますし、この点については経済学者の間でも比較的コンセンサスが得られるのではないかと思います。
なお、震災によって日本をめぐる環境は大きく変化した事を考えても、今、本書を読むとすれば、細かい政策についてよりも、そうした経済政策への考え方を学び、考える方が有益だと思います。
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日本経済のウソでは量的緩和にマクロ経済効果はないという日銀等が採用している定説に挑んでいる。

高橋洋一は不十分な量的緩和と引き締めを繰り返した日銀の白川方明の仕事ぶりを「単なるミスではなく、確信犯であると思えてならないのです(p44」と捉えている。

白川方明は2002年、企画室審議役の役職のときに『金融政策論議の争点』で「「量的緩和」採用後一年間の経験」という論文を公開していた。その論文の文章を読むとゼロ金利の状況では金融緩和の効果も限定的にとどまるというような解釈をしていた。

「量的緩和」採用後一年間の経験」に使用されている表の一つを見ると、為替レートが2001年末の時点で116.44円、2002年3月20日の時点で132.21円に変化している。しかし白川方明は対ドルレートで円安に振れたのは量的緩和の効果があったからだという解釈をしていない。

『金融政策論議の争点』の討論「日本銀行の金融政策をどう評価するか」には新保生二が

白川さんも70年代後半にシカゴから帰られて、合理的期待仮説だとかマネタリーアプローチで、マネーが為替レートやインフレ率の決定に非常に重要だという考え方を示され、非常に似通った考えで、仲間として研究会をやったりしてきた。私は一貫してそのような立場であるが、お二人は、あのころは貨幣が重要だとの議論をされていたのが、今はあまり効果がないとの議論になっている。お考えが変わったのか、実体経済が変わったのか。おそらく実体経済が変わったとのご認識であろうと整理している。実体経済が変わったというときに、日本経済のどの時期からその考え方が通用しなくなってきているのかを整理していただくと、もうすこし議論がすっきり整理できるのではないかという感じがしている。『金融政策論議の争点』(p321)

と、かつては白川方明は、貨幣が重要だと考えていたのに、今(2002年)は違っていると非常に重要な指摘していた。

新保生二の質問に白川方明は

新保氏は、マネーの役割について白川の考え方が変化したのかという主旨の質問をされた。マネーをどう位置づけるかについてはいろいろな議論があり、私自身述べたいことは沢山あるが、時間の制約があるので、ここでは、もともとあった不良債権問題に加えて現在は短期金利の水準がゼロに至ったということがマネーサプライの問題を考えるうえで最も大きな違いであるということだけを指摘したい。『金融政策論議の争点』(p328)

と、実質的には質問の答えになっていない発言をしていた。

さらに新保生二は

110円レベルから130円台の円安に転換したのも、量的緩和の効果がでているわけで、まったく効果がでていないという整理は正しくないのではないか。マネーが増えても実体に効果が及んでいないのは事実である。しかし、実物に波及するまでは一年ぐらいラグがあるので、今、効果が出ていないから効果ゼロと整理するのは行き過ぎではないかと思う。『金融政策論議の争点』(p387)

と発言したが、白川方明は

マネーサプライについても、ただいま新保氏はご自身の解釈を示され、私は先にいったように異なった解釈をしている。為替相場についても、論文に書いたとおり、円安が進んだのは昨年秋以降で、それは量的緩和の効果というより、先行きの日本経済は相当に弱いだろうと市場関係者が判断し、一方で米国のほうは景気回復の見通しが強まってきて、そういう相対的な景気見通しの格差が為替の円安に出ているのだと解釈している。もちろん、その点も含めて、今後の展開で改めて検証していきたいと思っている。『金融政策論議の争点』(p387)

と、やはり真正面からは答えていない。

中原伸之の名前が『金融政策論議の争点』にも『日本経済のウソ』にも登場していますが、日銀が中原伸之の提案を一度拒否し、その後、結局は不十分ながらも採用したのは量的緩和に効果があることがわかっていたらでしょうね。本当に効果がないなら、無視されておしまいになるだけだろうし。

量的緩和にマクロ経済効果があるという高橋洋一の捉えかたも妥当なものといえるのでしょう。

『日本経済のウソ』には日銀法改正の話題も出ている。日銀に対して政治的統制が効いていないのが日本のマクロ経済政策の不備の最大の原因なのだろう。

『日本経済のウソ』はやや高度な内容だが文章は明晰であり丁寧に読んでいけば誰でも理解できるつくりになっている。
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かくして日本振興銀行は破綻した。

著者の高橋洋一氏は、旧大蔵省の官僚を経て、
小泉政権下では、経済財政担当大臣などを務めた竹中平蔵氏に仕えて手腕を揮った。

金融工学などの専門家で、増税する前に、まず政府の無駄な出費を減らすことが必須だとする、
上げ潮派の論客である。
たとえば 、郵政民営化だが、小泉案がもっと優れており、亀井案は全くダメ、
民主党案はその中間だとするが、民営化の理由として最も大切だったのは
巨額の郵貯簡保マネーを国や、政治家が、借金のために使うということを
なくそうという考え方であったのではないかと思うが、
そのことには少しも触れない。なぜだろう。
国債はじゃぶじゃぶ発行されて国は借金漬けのままである。

さらに、本書では「日本は国家として破綻する」
「増税しても景気は良くなる」などの言説が「ウソである」
ことを述べているが、あの小泉改革がもたらし今も続く痛みは何だったのかと思うと
いまひとつ素直にこれらの論に賛成できないのである。

なお、この本の帯で最も大きい活字は「勝間和代氏推薦」であった。
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