村上龍氏は、小説というと斬新でギョッとさせられるようなものを書かれますが、エッセイとか評論となると、控えめです。
控えめというか「私は何も…と言いたいのではないのです」「○○かどうか、私にははっきり分かりません」という論調が多く、断定するような論調は皆無です。
お人柄なのでしょうが、正直に過ぎると言いますか、例えば
「『○○政権に何を期待しますか』と言うけれど、期待なんかせずに公約を実現するかどうかを見ていればいい」
「日本の子どもの平均学力が下がっても、わが子の学力が充実していれば、どうでもいいではないか」
など、一つ一つは「なるほどなー!」「そりゃそうだ」と思える視点なのに、全体としてあまり強烈な印象は残りません。
確か「ハバナ・モード」もそうでした。
おそらく、氏自身は押しも押されぬメジャーですが、その視点は「誰かが言わなければならないけれど、言ってもしょうがないし何も変わらない」というマイノリティーに終始し、大々的に取り上げられることは今後も皆無でしょう。
ものすごく知名度のある人が、ものすごく見向きもされない意見を、ものすごい執念で言い続けている。ずるい言い方をすれば「知名度を利用して言っている」ということではないでしょうか。