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日本的感性―触覚とずらしの構造 (中公新書)
 
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日本的感性―触覚とずらしの構造 (中公新書) [新書]

佐々木 健一
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

花の好みに現れるように、日本人には西洋人とは違う感じ方がある。「おもかげ」「なごり」「なつかしさ」など、日本人にとってそのものに「詩」を感じる言葉がある。“世界”が“われ”のなかでどのように響き合うか。それこそが感性であるならば、その多くは文化的な環境のなかで育まれ、個々の文化に固有の感性が生まれるだろう。本書は日本的感性を和歌を素材として考察し、その特性である「ずらし」と「触覚性」を明らかにする。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

佐々木 健一
1943(昭和18)年東京都生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院人文科学研究科修了。東京大学文学部助手、埼玉大学助教授、東京大学文学部助教授、東京大学大学院人文社会系研究科教授、2004年退官後、日本大学文理学部教授。東京大学名誉教授。美学・フランス思想史専攻。著書『せりふの構造』(筑摩書房、1982年、サントリー学藝賞受賞。講談社学術文庫、1994年)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 新書: 302ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2010/09)
  • ISBN-10: 4121020723
  • ISBN-13: 978-4121020727
  • 発売日: 2010/09
  • 商品の寸法: 17.4 x 11.4 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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By ビブリオン トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
国文学研究資料館で、公開している古典選集本文データベースの中にある「二十一代集」。その市販CD-ROM版。CD-ROM版「万葉集」。これらデジタルテキストを、著者が日本の感性を特徴付けると考えた「あまぎる、おもかげ、なごり、なつかしさ、そこはかとなく、なにとなく、さだめなし」等々の検索語で検索。抽出された和歌を解析して、日本の感性、その構造を明らかにしています。検索が網羅的なので、一部作品から性急に結論づけることなく、作例全体を視野に、考察を一歩づつ進めているのが、うかがえます。

本書でいう感性とは、思考や知覚とは違い、それ以前の世界の感じ方、瞬間的に反応し感じるありかたです。また感性の構造とは、心理的な内部の布置構造図ではありません。より広く、「われ」と「世界」という静止した2極の場での感性のありかた。他方「意識」と「宇宙」、それぞれの動きと両者の関係、その中での感性の動きと結びつき方が探られています。多くの和歌を解析した結果、得られた日本の感性の構造は、「触覚性」と「自由なずらしの動性」が合わさり、それぞれが上の二つの座標系の中で豊富な相に具体化しているという結論です。

一番面白かったのは、今の人にもあるという時間意識の分析でした。内省した「今」をあるかもしれない未来へと投影していた歌人達。三條院の「心にもあらでうき世にながらへば恋しかるべき夜半の月かな」を解析。院は、間もなく死ぬであろう未来の自分の眼から、いま月を見ている自分を振り返ってみている。また藤原清輔は「ながらへばまたこの頃やしのばれむ鬱しと見し世ぞ今は恋しき」で、過去を振り返り、その過去を現在の形で見て、その関係をさらに未来ー現在に平行移動させ、苦しい現在を相対化して見ている。というのです。内省的過ぎる人が、今の重荷に耐えかねる時、未来に自分を浮遊させて、ずらして己を見る独特の術が、昔はあったようです。
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・全体像
この本は、わたしは日本的美学の試みとして構想しました。

【佐々木健一】
東京大学名誉教授。美学・フランス思想史専攻。
感性という見えない概念を論理的かつ体系的な構成でまとめた一冊。
視覚をはじめとする五感や自然美「花鳥風月」、和歌などを通し
日本人独特の感性を探る。

・感想
感性は見えないものなのでけっして論じやすい議題ではないのですが
この本はもののみごとにそれを体系化しています。

第一章、語彙1「花に囲まれる」から始まるのですが、これがまた幕開けに相応しい。
民族によって感じかたが異なると感じた著者は、まず花の好みに言及します。
『満開の桜』これほど美しいものはそうあるものではありませんが
オランダに講義のため滞在した著者は周りに違和感を覚えます。
大学のスタッフも学生も満開の桜に無関心で、それどころかその木を桜とは知らず
満開に咲き誇っているという事実さえも気付いていなかったそうです。
オランダといえばチューリップが有名ですが、彼らは花壇に咲き誇る一輪のチューリップ
ならば無関心どころか水を、肥料を与え図らずとも愛でるはずです。

この現象の説明のために筆者は形容詞についての話を交えます。
美しい女性に対して形容で「大輪のバラのようだ」というありきたりのものがありますが
それに対し「あなたは桜の花のようだ」という褒め言葉あまり聞きません。
それどころか言われた相手は喜んでいいのかもわかりづらいはずです。

これはチューリップやバラが一輪であっても見つめる対象、観賞の対象になるのに対して
桜の花は見つめる対象になるには小さく、その美しさは「群生の美」に属するからだそうです。

このように西洋人との感性の対比などを通して、日本人の感性について探っていく
物語のような学術書です。
この他にも美しいこと尽くめなので、日本的感性を知りたい方は一読のほどを。

・抜粋文
感想中に記したため、省略。
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