NHKの鼎談番組の書籍化本。注釈やメッセージ、あとがき付きで、DVDを買うよりは割安。但し、事前にNHKスペシャル取材班『日本海軍400時間の証言 軍令部・参謀たちが語った敗戦』(新潮社)を一読するか、又はその原番組を観てからの方が、より深く本書の内容を理解できると思います。
「でもどうして、日本海軍がこんなにドイツを信奉するようになったのかがわからなくて、ずいぶん、この反省会に出ている人たちに聞いたんです。それで、あるとき千早正隆さんが、それはおまえ簡単だよ。ドイツに行って大歓待を受けて女を抱かせられたんだ、と」(38頁、半藤氏)。
「軍人というのは、過去の戦を戦うんです」(48頁、半藤氏)。
「必ず対米劣勢の艦隊となるなかで、絶対に勝たなくてはいけないという前提でくるものだから、リアリティのある作戦を立てていたら絶対に負けるんですよ」(66頁、戸高氏)。
「組織というのは不思議なくらいに、少し飛び抜けて一歩進んだ人はいらないんです」(68頁、半藤氏)。
「陸軍は三国同盟を結びたいから、「予算を海軍の希望通りにする」と約束した」(87頁、半藤氏)。
「せっかく反省会をやったのなら、もう少し、人間的な痛みというものがあってほしかったですよ」(104頁、澤地氏)。
「事実として戦争のことを残すのは大事だけれど、物語としての戦争がどんどん多くなっているというのは、じつは危惧しているんです」(147頁、半藤氏、澤地氏のいう「借景」(148頁)も同旨であろう)。
なお、特攻作戦を実質的に決めたのは伏見宮であったというくだり(109〜110頁)は、またこいつかよという感じでした。
それにしても、当時の海軍参謀たちの目線(あるいは立ち位置)は、今日の官僚達のそれと同じではないのか。こういう立場にあられる方々は、「エリート」であると勘違いする前に、まず人間性(感受性、想像力)を磨いてほしいものである。