日本海軍の生い立ちから、開戦前の基本的な対米戦略、兵学校や各艦隊の基本構成、幹部のプロフィール、各戦艦や航空機の性能まで、あらゆる情報がコンパクトに詰め込まれています。これで文庫サイズというのはお得です。
しかしながら、各項目については、「写真太平洋戦争」を始めとする専門書や写真集、もしくは雑誌をご覧になったほうが、より多くの正確な情報と論説に触れることが出来るので、あくまで「事典」として、とっかかりとして使用すべきでしょう。
ところで、この本で特筆すべきは、精神注入棒を使った海軍のシゴキを、当時の証言を元にありありと暴露しているところです。陸軍よりも理性的とされた海軍でさえ、不合理なシゴキが存在し、死者すら出ていた事実が示されます。
当時の日本は、国力の単純な比較以上の戦いをやったことは事実ですが、こういう不合理な点を、兵隊の暮らしぶりから幹部の戦略立案に至るまで取り除いておけば、もっとマシな戦いが出来たのではないか、少なくとも、戦う前に兵を負傷させる愚は犯さなくてもいい、と思いました。