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日本浪曼派批判序説 (講談社文芸文庫)
 
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日本浪曼派批判序説 (講談社文芸文庫) [文庫]

橋川 文三 , 井口 時男
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

メタローグ

丸山真男の門下生だった橋川文三(1922―83)が、本書でこだわったのは、戦前から戦中にかけて反近代と古典回帰を唱えた日本浪曼派、とりわけその中心人物である保田與重郎に魅せられた体験だった。昭和10年代、保田や亀井勝一郎らがリードした復古的ロマン主義は、青年層に絶大な影響を与えた。ところが戦後彼らは、ウルトラナショナリストとして抹殺され、黙殺されている。しかしロマン的心情をかきたてた保田の内在的批判なしに通り過ぎるのは欺瞞ではないか。それが本書のモチーフである。戦争と耽美主義との相関関係を摘出する試みは、ある種の「回帰」が進む今日、いま一度顧られていい。(宮川匡司)
『ことし読む本いち押しガイド2000』 Copyright© メタローグ. All rights reserved.

内容説明

戦前の一大思想であった日本浪曼派の分析。日本精神史の一つとして避けて通れない日本浪曼派。保田輿重郎を中心とする文学運動は、いったい何であったのか、著者の青春的体験をも踏まえた批判的名著。

登録情報

  • 文庫: 326ページ
  • 出版社: 講談社 (1998/6/10)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4061976192
  • ISBN-13: 978-4061976191
  • 発売日: 1998/6/10
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By itv
形式:文庫
 日本浪漫派といえば保田與重郎にほかならない。その保田の言説に戦後早い時期に焦点をあてた労作。反政治的審美主義が戦争動員の思想として最も機能した逆説、保田のロマン派的イロニーと国学的―無政府主義的―農本思想の関連など、今読み返しても決して十分読むに耐えうる内容をもっている。。

 政治的・社会的な行き詰まり感が過激な審美主義と結びつく図式はいつの世でも同じ。保田―橋川の提起した問題は、すぐれて現代的な問題でもあるのだ。

このレビューは参考になりましたか?
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By dvrm トップ100レビュアー
形式:文庫
 書店で現代日本文学大系61巻を買い、いわゆる日本浪漫派の作品をいくつか読んだものの、それらの書き物がどんな風に戦時の翼賛として効いていたのかが想像しにくくて、その巻の解説にこの書物の抜粋があったのでAmazonで取り寄せて読んでみた。

 この文庫では第一部で表題の論文を本編全七章と補論三章分収録し、第二部を「停滞と挫折を超えるもの」と題して八つの独立した文芸時評を収録している。もちろん目当ては第一部だったが、第二部の諸文章も第一部と論旨にかかわりがあり、読んでいて面白い。

 第一部「日本浪漫派批判序説」本編では日本浪漫派の生まれる背景にも視線を配りながら、保田與重郎の文体にイロニイを読み取り、そのイロニイが示す世界観から啄木以来の「時代閉塞の現状」の継承を見出し、その出口としての国学的心情に権藤成卿らの日本農本主義との類似点と相違点を指摘し、現実に屈服した政治意識を美意識の中に解消していく耽美的パトリティズムで多くの支持者を得たのが日本浪漫派であったというとりあえずの読みでまとめている。

 一転して補論は、本編最終章で保田與重郎と文体や当時の読者への影響で類似していたと指摘していた小林秀雄を取り上げ、マルクス主義文学批判とのかかわりで読まれた「私小説論」の読み替えを試みた論文と、日本浪漫派が台頭する直前の文学状況の点描、日本浪漫派と太宰治のかかわりについての小論という計三章が展開し、本編と同じぐらい読み応えがある。

 第二部では第一部よりも軽いタッチの文章もあるが、石原慎太郎や大江健三郎や江藤淳などを俎上にあげ、歯切れの良い論が続く。日本浪漫派の活動と、それを等閑視しようとする近代文学の対照の下で当時の現代文学を論じていたのが印象的だった。

 読み終えてみて、日本浪漫派を生み出した土壌はいまだに根強い、というかより肥沃になっているように感じた。啄木の「硝子窓」で書いた心情は今の若い人にも響いているだろうし、そこから日本浪漫派と同方向のヴェクトルを持った言説が生まれる可能性はあるし、農本主義的言説は根強い訴求力があるようだし、小林秀雄的な断言スタイルを好む向きも弱まっていないと思う。あからさまなきれいごとで現状が糊塗されてしまうと、これらの言説は説得力を増してくるのではないか。今の危うさを考えるのに効いてくるだろう著作。
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11 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 日本浪漫派は左翼革命の挫折、転向派の受け皿。担った面を否定できない。私が思うに「右」の革命の挫折も無意識的に受容していたのではないだろうか?

 日本ロマン派の主唱者:保田与重朗は思われていたような、戦争肯定者ではなく、戦時下の生まれた、むしろ非政治的な唯美主義を模索していたように私には思われる。彼の上古の論評は戦争肯定ではなく、却ってデスペレートな、収斂された戦争批判ではないだろうか?表象化された戦争批判ではなく、押さえ込まれた、重層化された内向の批判ではないか、保田の日本論、農本的、故郷論は戦地に徴用された兵士たちを、影ながら、精神的に支えていたのでないだろうか?
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