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36 人中、32人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
うーん…,
By helleborus (北国) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 日本沈没 第二部 (単行本)
多感な思春期に読んだカッパノベルスの「日本沈没」上下巻。SFが日本国を、日本国民を語る重厚さに感動した昔は忘れられません。ラジオドラマも毎晩ラジオにかじりついて聞いておりました。今回の再映画化(詳細はともかく。原作とはほとんど別物みたいですよね)であの興奮を思い出していたところへ、第二部の刊行!! 胸躍らせて読み始めました。ワタリ、花枝、邦枝、中田… 懐かしい名前を見ては、甦る感動にちょっとウルウル。予想以上に壮大な導入部に感激。しかし、話の細部が少しずつ粗くなったように思われ始め、中盤は何となく散漫になりかかり、そして最後は広げた風呂敷を慌ててたたもうとするような終わり方をしてしまって、何とも無念。これではミソをつけてしまうのでは…? どうせならもっと紙面と時間をかけても、きっちりと書き込み、書き上げて頂きたかったです。原作者・小松左京氏は初めから第二部を構想しておられた。本書を実際に見て、そのことをはっきり思い出しました。33年という時間の経過、更には御自身が阪神大震災で被災されるという困難を乗り越えられて、このプロジェクトを立ち上げられたことには敬意と賛辞を表します。日本沈没本編が、それだけ卓越した着想と日本への愛の賜物だったということでしょう。私にとって、日本沈没本編の価値は何ら揺らぐものではありません。
19 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
このテーマでこのボリュームは…,
By あっくん "aki" (大阪) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 日本沈没 第二部 (単行本)
このテーマと構成、主要登場人物の多さでこのボリュームでは少ない。すでに物語りの構成とキャラクターはあるのだから、 谷甲州氏はもっと物語をふくらまして、現在のボリュームで上下巻くらいにするべきだった。使われなかった伏線やエピソードがたくさんあるし、各キャラクターも掘り下げかたが浅い。 全体的に言えばまるでダイジェストのような感じがする。 特に物語りの終盤に向かっては駆け足でバタバタ終わらせた感がいなめない。玲子と小野寺の再会シーンなどはこの物語の一つのクライマックスになるはずなのに余韻もなにもなく。通りすぎていく感じでせっかくの感動場面なのにもったいない終わらせ方だ。もっと紙面の枚数をかけるべき場面だと思う。、もう33年も待ったのだから無理矢理映画の公開に合わせなかってもよいのでは?少し残念である。谷氏はやはり小松御大に少し遠慮したのかもしれないが、今後完全版とか完本とか定本とかで再度出ることを望む。
24 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
ちょっと中途半端かな,
By
レビュー対象商品: 日本沈没 第二部 (単行本)
日本が沈没して二十五年後、世界各地にちらばった日本人はさまざまな境遇にあった。たとえばパプアニューギニアの入植者たちが成功しつつある一方、たとえばカザフスタンの入植者たちはエスニック・クレンジングの犠牲となっている。国土を持たぬながらも存続する日本政府は、日本の沈没しさった旧日本海における利権争いが本格化するなかで、漂流する日本民族をあらためて再結集させるプロジェクトを進行させるのだが。第二部が出版されたので、十数年ぶりに第一部も読み返しました。記憶のなかの印象との違いにある種の感慨を抱くとともに、小松左京氏と谷甲州氏の作家としての資質の違いと、執筆された時代の違いを感じずにはいられませんでした。 第一部の小松左京氏は、さまざまなデータを駆使して荒唐無稽な舞台装置をつくりあげることが得意だった半面、データの列挙に淫するところがあり、また人物描写もあまり得手ではなかったようです。キャラクターはやや劇画調で、政界黒幕の長老が登場するなど、今となっては苦笑してしまう設定もあります。日本から人々が脱出するシーンもほとんど描かれていませんでした。 一方、第二部の谷甲州氏は、技術者やエージェントなど現場にこだわり、きめ細やかで散文的な描写によってリアリズムを作り上げます。しかしその分、情緒的には素っ気ない。ていねいにディテールを描きこんで場面を盛り上げるのですが、いざクライマックスに達そうとする直前でぷつんと断ち切ってしまい、その後の経緯はこれまた素っ気なく、別の場面のしばらくあとの地の文で説明するのです。妙に煽ろうとしない分、私には読みやすいスタイルでしたが、しかし、これが映画だったら喜んで映像化したがるであろう決定的なシーンの描写を、なんだか避けているかのようにも感じられました。また旧日本海における中国の記述は、現在の国境情勢に影響されたところでしょう。 本作(第二部)は、まず前半部はさまざまなディテールから始めて、やがて「日本政府のプロジェクト」に焦点を結んでゆくという構成なのですが、ストーリィ中盤でこの焦点がねじれてしまいます。そして後半部は、新たな焦点がうまく結びきれぬまま、性急な説明がつづき、ていねいに描かれてきた要素があっさり捨てられてしまいます。たとえば中国のエージェントもそうですが、結局なんだったのだ、なにをしたかったのだ、と言いたくなるくらい、キャラクターや伏線がとり残されてしまいます。 話のねじれを料理できぬまま執筆され出版されたのは、やはり第一部の再映画化(2006年)にともなって「映画公開に合わせる」というマーケットの要請でしょうか。そもそも映画公開がなければ第二部が書かれたかどうかもわかりませんが、正直やはり残念です。 ともあれ、なにを書いても第一部と比べられ、小松左京氏の熱狂的なファンに批判されるであろうことが予想される中で、谷甲州氏があえて執筆に踏み切ったことだけは、賞賛したいと思います。
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