でたらめなキャプションと手前勝手な思い込みにもとづく書き込みのオンパレード。
表紙カバーに使われている写真からして、本文中には「日本軍によるロシア兵の斬首」とあるが、この「ロシア兵」なる被写体、視ると頭を辮髪にしているじゃないか。ロシア軍将兵が辮髪するかどうか、考えるまでもないだろう。
著者は好事家ないしコレクターというレベルに過ぎないね。書籍にするなら、しかるべき写真史研究家に、すべての掲載写真について指導を仰ぐべきだったと思うな。
確かに日本では、戦前は内務省の検閲のため、戦後は大手メディアの自主規制のせいで、いわゆる「残酷な写真」は、ほとんど表面に出ない。世の中、奇麗事だけで済まそうったって、そうは問屋が卸さないって言う著者の主張は分かってあげたいけれど、これじゃ逆効果というもの。たんなる興味本位としか映らない。
本書から少し拾ってみると、「義和団員を斬首した日本軍と清国巡査(どう見てもモンゴロイド人種ではない。おそらく列国連合軍の兵士だろう)」とあるが、当時の清国に警察制度はなかった。李氏朝鮮軍に捕らえられ処刑された東学党員の写真を、「日本の警察によって公開絞首刑にされた、朝鮮の『抗日義兵』(当時、日本の警察官は朝鮮に居なかった)」と、また、中国の匪賊処刑死体を関東大震災時の「亀戸事件被害者」と取っ違えているし、なかには、中国で制作された劇映画の1シーンを採って、「トラックで処刑場に移送される抗日活動家」、「中国兵捕虜を銃殺する日本兵」とやっているのまである。
四谷怪談の「お岩さん」の写真なんかは取上げないの?
もっとも、べつだん悪意があってのことではなさそうで、著者自身、誰かに完全におちょくられているようだが、こっちとしては、どこで著者を騙した写真説明が製造されたものか、むしろ、そっちのほうに興味をもってしまったね。
それにしても、よくまあ簡単に嵌められたもんだね。外道だからといって一概に排斥するつもりはないが、著者に写真を診る目がないし、写真史だって勉強したことがないんでしょ。
あげく、ナチスのホロコーストやイラク戦争のまで持ち出して、こんな写真と、「日本残酷写真史」と表題にある「日本」と、どんな関係があるのかいな? こんな扱いって、まるで納得できないよな。