我が国のロック・ギタリストの最高峰、寺内タケシがこの2011年に世に問うた最新録音盤である。
この選曲を見ただけで尻込みする者も多いことであろうが、このアルバムはまぎれもなく72歳の寺内氏のエレキギター人生を叩きつけたロック・アルバムである。寺内氏の演奏には気迫と歌心に溢れており、また前作「ミスター・レジェンド」では聴かれなかった圧倒的なディストーションも随所にフィーチャーされている(先頃のライヴでも演奏された「津軽海峡冬景色」「風雪ながれ旅」などはすべての日本のギター・プレイヤーが聴くべきである)。そして何よりも、寺内タケシの「日本人」としての魂がすべてのフレーズにみなぎっており、まさに日本人でしかあり得ない演奏がすべての曲において展開されている。。録音やマスタリングも非常に優秀であり、ブルージーンズのバンドとしての質の高さを痛感させられる。
寺内タケシは「エレキの神様」の称号とは裏腹に、この日本での、特にロック・フィールドからの正当な評価は全く皆無であり、並のアーティストを遥かに下回るどん底の評価しか与えられていない。これほどの凄まじい世界的なギタリストとしての実力を持ちながら至るところで蔑視と嘲笑、罵倒の嵐である。先日参加した寺内タケシとブルージーンズのコンサートの客層は殆どが長年のリピーターと思われる60代以上の固定ファンであり、しかも私が鑑賞していた3階席はガラガラであったのである。つまり寺内タケシの音楽は、あれだけハイスクール・コンサートを行っているにもかかわらず次を担う若い世代には、全く正当に語り継がれてはいないということなのである。これが日本の「エレキの神様」に対する日本人の仕打ちなのか。
最後の歌入りの「青春へのメッセージ 50周年ver.」はブルージーンズ人生50年の重みに満ちた、リスナーへのメッセージの入った涙ながらの絶唱である。寺内タケシは「ギターは弾かなきゃ音が出ない」と常々力説しているが、日本中に蔓延る寺内タケシを聴かずして蔑視し嘲笑する者!!「ギターは聴かなきゃ音が出ない」のである。