日本の林業というと、なんとなく「高コスト体質のため輸入木材に負けてしまい、再起不能。結果森林は荒廃してしまい、もはや再生も困難。大規模な公共事業、あるいはボランティアベースでどうにか維持していかなければならないお荷物」というイメージを持っていました。
本書が描く日本の林業は、実際かなり悲惨な状況です。たとえば、森林の所有者が森林から離れている。所有者たちの組合(森林組合)は、補助金漬けに慣れて、事業化の動きが少ない。林業従事者は少なく、森林資源の管理と高度利用のための専門技術の蓄積が乏しい。結果、木材を利用する関連産業(建築、家具など)にとっても、国内材が利用しにくくなっている。などなど・・・。
ですが、本書によって問題が明確に描き出されており、対処の方策も十分に示唆されています。むしろ、問題が明確な以上、対処の方針も立てやすいんじゃないかとさえ思いました(上には問題ばかり書き連ねましたが、50年前の植林の成果によって、日本の森林資源が保育から利用の段階になっているという大きな機会についても、本書では強調されています)。
著者の語り口は、感傷的なところが無く、大変具体的で、科学的です。そのぶん、かえって私には衝撃的でした。多くの方にとっても同様だろうと思います。多くの人(特に真面目なエコロジストの皆さん)に読んで欲しい1冊です。