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日本政治思想史研究 新装版
 
 

日本政治思想史研究 新装版 [単行本]

丸山 眞男
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登録情報

  • 単行本: 420ページ
  • 出版社: 東京大学出版会 (1983/01)
  • ISBN-10: 4130300059
  • ISBN-13: 978-4130300056
  • 発売日: 1983/01
  • 商品の寸法: 21.2 x 15.4 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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By 古本屋A トップ1000レビュアー
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1章は、若き著者の対象に一直線に向かう精悍さと真摯さ、文献に沈潜しながら論を展開する密度、明快な論理、勢いだけに委ねない細部への配慮の行届いた理性、何をとっても立派の一言で、著者の最初にして最高の論考と思う。程朱の学にある自然と規範の連続性が、素行、仁斎を経て徂徠のなかで分解し、敢えて言えば人間社会の問題を人間主体の問題として捉えなおしていく過程が明快に描かれる。抽象的な思考の骨だけにはしないで、豊かに各思想に語らせながら、その本質を描き出す。そして、悧巧な奴は、何時の時代も馬鹿げたことは言わないものだと納得させるだけのポイントを衝いた引用が楽しい。論述は、徂徠がピークであって、博覧強記、解釈の卓抜、現実への飽くことのない追求と提言、どこか飄々とした陽性でユーモラスな人柄、まさにオールラウンドな大思想家の風貌を余すところなく描いている。国学への言及については、徂徠に比して精彩は欠くが、その非政治性が却って強固な政治的な影響力を示すという指摘は面白い。宣長の何層にも練り上げられた「自然」の観念は、老子思想の脆弱さを脱却しているという指摘も興味深く、小林秀雄も後年言うとおり、徂徠〜宣長は相対立するようで、実は同じことを語っていることにも気付かされる。2章以降も興味深く、時に、1章の良き参考書にもなるが、宣長以降の思想の展開をたとえ陳腐であっても追わねば成らない、研究書のつまらなさもある。また、1章の論考をやや後知恵的に注釈、解釈したところがあり、それが、却って1章の再現不能な見事さに水を注しかねない。またこの注釈的論述のため、1章ではそれなりに理解できそうな新鮮な着想に思えた「聖人」の解釈が、却って、徂徠思想の現実性を損なうかのような、つまり、結局は無理な体系だったかと落胆させる方向へ収斂していて、可能性が閉ざされた気もする。「あとがき」「英文への序文」も重要な文献だが、これも後知恵的に、本書の方法意識を強調しているきらいがある。無論、嘘ではないが、本論、特に1章を読めば、むしろ方法に拘泥しないで対象に向かっていく良さがあると思う。また、「英文への序文」には、徂徠を頂点とした江戸思想に、恰も近代の萌芽を読みとろうとしたとの論述もあるが、本論は、実際にはそれほど作為的ではないと思う。西欧思想、とくにヘーゲル、ウェーバー、マンハイム、マルクスからの影響も然ることながら、幅広くドイツ思想を渉猟した奥深い薀蓄を示していて、「西欧思想学者」以上に良く分かっている気さえする。しかし、西欧の方法を安直に日本思想に適用していないところがまた良い。が、近代へ手繰り寄せるかのようなスタンスでの思想史は、今となれば、やむを得ないが、やや古く、著者自信も「英文への序文」でその限界は認めている。けれど、商業資本の発展による封建制度の崩壊、しかし商業資本の封建制への寄生性という限界の中で、模索された封建秩序の回復思想が却って封建制の精神基盤を崩壊させ、近代化へと進んでいく過程としてみようとする全編のモチーフは、今でも魅力的である。本書は、戦後日本の思想本の最高傑作であることには変わりがなく、数多ある左翼思想家からの批判論評は、まず、本書に関しては、ほぼ言い掛かりの類で、あらぬ人格批判まで行うなど、逆に品位の差さえ感じたものだ。
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とりあえず丸山は戦後民主主義の論客だとか、ナショナリストだとか今さら呑気にカテゴライズしてる場合じゃない。 テーマは「封建制ガッチガチの江戸時代の思想家に近代化の下準備を見る」ってな感じなんだけど、特に荻生さんに焦点合わせてるとこが半世紀以上たった今読んでも斬新!!いやいや、荻生さんってアレでしょ?所詮徳川とズブズブな儒学者でしょ?なんて思ったあなた!読めばわかる! 丸山政治学の真髄ここにあり!ホントただの名著でした。
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By maru
 個人的な解釈では、本書は西洋政治思想史のコンテクスト、政治思想的流れと対比させながら日本政治思想史のコンテクストや流れ、それぞれの思想の画期性や意味や影響などを説明したものだと思います。これにより日本政治思想史の重要な文脈を読者に埋め込みます。この「思想史的文脈」がそれぞれの思想を個別に学ぶよりもはるかに有効な基礎を読者に提供するのです。これが西洋政治思想史の深い理解まで促すのですから西洋政治思想史だけ勉強よりもむしろ西洋政治思想史の理解が得られます。ちなみに、本書はまず日本政治思想史を学ぶならバイブルに近いです。
 そして本書は難しいかと言われれば、前提知識があれば、むしろどんなにやさしい文で書かれた本よりもわかりやすいです。確かに文だけの難易度をとれば長いし単語は難しいしで一見難解にみえる。でもそれは難しいことにはすぐにはならない。逆にやさしい文で書くほうが難しいことを説明するとすっごい長くなってわかりずらくなるんです。抽象的でも上手く論証できれば最短でしかもわかりやすくなる。抽象的な部分があれば、具体例でしっかり説明をするから、論証が上手ければいずれにせよ集中して読めば理解はついてくるんです(丸山は論証がとても丁寧ですから、むしろかなりわかりやすいんです。わからないというのはじっくり丁寧に読んでいないか、前提知識が足りないか、一周くらいしか読んでおらず繰り返し読むことをしていないかなどが考えられます。)。ですから難しいと思うのは単純に前提知識が足りないのが主な原因だと思われます。ただ、前提されてる知識は結構高いものを要求されています。実際、私も一周目は納得がいかなかった。西洋政治思想史の理解が深くなると同時に本書の理解が深まりました。そんな感じで西洋政治思想史(できれば同じような質と内容の福田歓一の政治学史と南原繁の政治理論史が本書の理解にベストかと思われます)やその他の法思想史や経済思想史などの理解が深ければ本書の理解が深まってくると思います。そこまで余裕がない方は最低限の西洋政治思想の文脈が頭に入っているといいでしょう。やはり残念ながら本書は一定以上の知識がないと無駄な読書に終わる可能性がどうしても高くなってしまいます。前提知識がないとなにが画期的なのかどこが重要なのかが分からずに、ただなんとなく読み流すだけになってしまうんです。このように一定以上の理解に至るには知的な格闘が必要となりますが、丸山の著作を何度も繰り返し読むだけでも、前提知識がなくても、理解はついてくる可能性も高いので、それでもいいかもしれません。いずれにせよ、高い高い壁だとは認識してもらいたくはないというのが本音です。できるだけ多くの方に読んで理解してもらいたいです。西洋政治思想史など他の勉強と並行しながら、本書を何度も繰り返しなおかつ丁寧に読めば理解できないということはありません。
 ただ、本書は丸山の一部分だと思います。ですから、もし余裕があれば是非、丸山眞男講義録(日本政治思想史の東大で授業された内容のものです)も読むことを勧めます。講義録は丸山の日本政治思想史の全体像を網羅(必然的に本書のさらに詳しい解説にもなっています)していますし、実際に授業で講義した内容なので非常にわかりやすい上に過不足なく語られていて本書よりも丁寧で納得できない点が限りなく少ないですからお金と時間はかかりますが読むべきだと思います。さらに、忠誠と反逆という本も思想史ですから時間があればそれも。
 もちろん、ある人物に傾倒するのはダメだとよく聞きますが、未熟なうちは客観的に信頼できる人の研究を軸にして、それをある程度理解しつくしてきたら自分なりの批判的態度を持っていくというスタンスがいいと思います。とにかくそのように軸としてやっていくことで自分なりの物の見方、視点がつくことが大事です。その「見方」が鋭い視点となっていくのです。そのような確かで鋭い視点がないうちは引き出せるものが浅くなってしまいます。人はあるフィルターをとおしてしか物を見ることはできませんし、したがってそのフィルターに通った一つの側面しかみることしかできません。完全に見渡すことなどは不可能なため、質の高い視点(フィルター)を身に付けることは生き方の質そのものが変わってくることにもつながってくると私は思います。
 私としては、丸山真男の本質はやはり政治思想史にあると感じています。丸山の政治思想史はかなり深いところに突っ込んでいるために、おおげさかもしれませんが、社会科学全般の深層的な証明になっているとも言えます。そういうわけで、丸山の思想史を理解することは社会科学の深層を理解することにつながりますから、何を学ぶにしても多大な効果があるでしょう。何度も何度も繰り返し読むことを強く勧めます。
 とにかく、丸山の研究を深く追えば追うほど度胆を抜かれます。自分の丸山への予想を超えるんです。しかもはるかに。丸山の理論的な著作で大体は予想できたいた丸山の限界はありえないほど高い次元にありました・・・。追えば追うほど、私にとっては、その丸山と一般的な次元との距離がどれだけ果てしないものかわかるだけ・・・。はっきりいってこんなことは今までありませんでした。丸山の限界がどこにあるのか探れば探るほど、「この人は一体どこまで高い次元までいったんだろう」というように、一向に限界がみえないんです。正直、人間がこのような次元にたどり着けるなんて考えてもいなかった。丸山に追い付こうなんて考えはもちろんありません。でも丸山がどこまでいったのかだけは知りたいんですね。それが見えないというのはどれだけ恐ろしい次元にいたかという証明だと、私は考えています。
そういうわけで本書を含め丸山の政治思想史は生涯を通してずっと何度も繰り返し読むべきものでしょう。このようなレベルの本というのはそうそうありません。そしてこのようなものが名著と呼ばれるのではないでしょうか。その政治思想史という枠の中だけで効果を発揮するのではなく、もはや人の人生観や人格にまで名著というのはとても大きな効果ががあるのでしょう。丸山はもうこの世にはいませんが、本を通じていつでも知的な会話ができるというのはすごいことだと思います。10回繰り返し読むだけでもまだ足りないほどの価値が詰まっているのではないでしょうか。
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