1993年の本ですから、ちょうど新生党の結党寸前くらいの時代です。本当にこの本を小沢一郎が書いたのか、ゴーストライターなのかは不明です。というのも、テレビから感じるモヤーっとした雰囲気と文章から感じるハキハキとした雰囲気がどうもそぐわないからです。古い本ですが、この本を読むと、小沢一郎という政治家の基幹みたいなものがわかりますし、案外、小沢一郎が思うような日本になってきているのではないかという気もします。小選挙区制を導入して政権交代の緊張感をもたせる、という主張は実現されましたし、政党助成金制度を創設して政治資金の流れを透明化する、という主張もおおむね制度として結実しています。地方への権限委譲を主張していますが、現状不十分ではあるものの、地方への権限委譲が必要だというコンセンサスはなんとなく醸成されつつあります。この本で主張されている「中核都市」という概念も一応、制度化されました。その意味では、小沢一郎って結構、仕事してる、と思った。
この本でもっとも特徴的なのは国連中心主義という思想です。常設国連軍を創設しそこに自衛隊を差し出すという構想は、かわぐちかいじの「沈黙の艦隊」の政軍分離論に通じるところがあります。国連の至らなさを認めつつも、それでも国連を中心として世界を安定させるというグローバルなデザインは、どこか書生論的なところもありますがそれを現役の政治家として(恥ずかしがらずに)堂々と論じたところは評価すべきだと思います。一方、アメリカが国連中心にシフトしていくという彼の読みは完全に外した感があります。このあとネオコン時代になるので。
規制を緩和して日本人一人ひとりが自律的に行動することにより、真の民主主義を根付かせるという、いわば「自由主義であってこその民主主義」というごく当たり前の原則がバックボーンにあります。今読んでみると、(常設国連軍構想とかを除けば)わりと常識的な内容なのではないかと思いますし、それを常識的と感じるのは、1993年に比べて小沢構想に近い日本(少なくとも小沢構想が一定のコンセンサスを獲得している社会)に実はなってきているんではないかと思いました。