明治後半から平成までの日本の怪奇・幻想小説を3巻に収めたアンソロジー。第1巻は明治35年から大正時代を経て昭和10年までの17作品を収録。現在文豪と呼ばれている日本を代表する作家の作品が少なからず収録されているのが興味深い。また、こういったアンソロジーは、編者がどういう作品を選ぶかも重要な要素。明治の文豪の双璧である漱石と鴎外で同じタイトルを並べて読ませるあたりは、二人の精神背景の違いがわかり趣向が凝らされていると感じる。芥川の「妙な話」も練られている。芥川には、「妖婆」「魔術」といった怪奇な趣向の小説が少なからずあるが、この作品を選ぶのは意外性があってよい。大佛次郎の「銀簪」や岡本綺堂の「木曽の旅人」など初めてふれる作品もあり楽しめるアンソロジーであった。