もし、「帰化植物学」というものがあるのなら、
普通の植物分類学以上に、
帰化植物学には、アマチュア研究者・愛好家の力が
大きなウェイトを占めている。
そう考えたときに、この本の著者の中に、
ちゃんとアマチュア研究者が入っていることは、
とても大きな意味を持っていると思う。
というのは、植物学の権威が書いたはずの
某社の帰化植物図鑑には
あまりにも誤植が大きく、
選定種も中途半端で、
値段の割には使えないものになっていたからだ。
それに対し、この本には、誤植が少ないし、
掲載されている植物について、
より詳しく調べてみようという
気持ちになれるという意味で、
ある程度、評価できると思う。
特に帰化植物の書籍は限られているだけに、
余計にこの書籍が出版されたことの意味は大きい。
しかし、一程度の評価はしても、
生物科学、植物学全般に対し、
影響力の大きい本であるだけに
新たに出たこの図鑑には、
いくつかの点で不満がある。
1点目。
第1巻のつくりを踏襲して、
植物体全体が、
写真で分かりやすく示されているのはよい。
しかし、第1巻に比べ、
明らかに一般的でない帰化植物ばかりが
掲載されているにも関わらず、
類似種との区別は分かりやすいとは言えない。
また類似種との区別のために、何(どの文献)を
見ればよいかわからない。
2点目。
1点目とも関係するが、
文献はたくさん載っているものの中途半端。
その植物を知っていれば知っているほど、
「なんでこの文献は載っていないのだ?」という種が多数。
分布情報を得るために、文献を調べるのであれば、
もっと徹底すべきではないのか?
3点目。
これも1、2点目とも関連するが、
外来種について書かれている文章であるはずなのに、
外国語文献が、ほとんど引用されていない。
日本国内の「たいして重要でない同好会レベルの文献」
については多数引用されているのに、
本来の自生地であるはずの
外国の文献について何も書かれていないのは
アンバランスとしか言いようがない。
4点目。
種ごとの説明文、コラム等、
著者の思い込みにより書かれているのか、
ちゃんと調べたのか、何かに載っているものなのかわかりづらい。
また、ピアレビューを経た内容であるのかどうか不明。
上記のことから、
この本の出来ぐあいは、完璧とは言いがたい。
1.5流の書籍と言うべき。
著者にはプロの研究者も含まれているのに、
なぜ、これらの点を
よりよくしようとしなかったのか?
不思議である。