本の帯にあった「人事部長の必読書」にとどめておくにはもったいない印象でした。むしろ、人事は「ひとごと」と突き放されている世の多くのマネジャーが読んで快哉を叫ぶはずだと思いました。私にとっては、企業人事を理論的に理解するためのバイブルになりそうな感動です。
以前、人事部で6年間過ごした私の感想は、人事って、会社の決めに委ねられる部分が多くて、「人事部がルールブック」で済ませている部分が多いということでした。でも、人事は人事部だけではなく、人事部と多くの職場のマネジメント層とのコミュニケーションから成り立っているものなんですよね。
現在、神戸大学大学院教授である著者は、単なる学者先生ではなくて、長く企業で人事実務に携わったのち転身された方のようです。そこには、人事実務の世界と学術理論の世界の両方を見た者にしか語れない説得力と明日への希望を与えてくれるものがありました。私のような非才にとって、我が社の人事部以上に懇切丁寧に人事の何たるかを解説してくれ、非常にありがたかったです。
人事部を離れ事業部門で長くマネジャーを務める私にとって、いま初めて合点がいった部分も多くありました。そして、人事部の連中に「まずあなたたちが読み、考え、新たな行動を起こせ」と叫びたくなりました。生のマネジメントに日々悩みつつ、でも結局、我流で解決している多くのマネジャーたちが、人事の世界を独学するのにもうってつけだと言えます。
人事やマネジメントに関する数ある本の中で、人事の事象を解説する単なる読み物ではなく、当事者であるビジネスマンが、実際の企業ケースに触れながら人事管理理論を学び、確信を得て明日への一歩を踏み出せそうな一冊です。
内容は濃く、読み飛ばせる軽さはないですが、人事は大事。じっくり腰を据えて読めるバイブルを得ることは、長く実務の世界で過ごす私たちビジネスマンにとって、まさに大事であり、幸福だと思いました。