もともとルールの妥当性を問うときに誰が作ったからどうだ、なんてことを論点にする人がいればただの笑い者になることは言うまでもない
それともその人はそれまでに属していたあらゆる組織で敷かれていたルールにその都度そんな理由で反発してきていたのだろうか?
あり得ない
誰がどういう経緯で作ったものかなんていうことは全く瑣末な問題であって、問われるべきはその内容
現実的な不都合があるのか無いのか、この点だけルール変更の論点になりうる
現行の日本国憲法をして
「外人が作ったものだからダメだ」
「ましてその外人も素人集団だったんだからまったくダメだ」
そう言って批判・改憲の根拠の一つとする人々が少なからずいる
確かにそれは事実の表層を捉えてはいる
しかし全く本質をつかんでいない浅薄な議論だということだ
それでもいい加減に作られたものがまともなものになる道理はなく、由来を知っておくことにも一理あるとすれば、その手始めとしてこの本が最良の道しるべとなる
本書は「誰が」「どういった経緯で」作ったのかを編者の思い込みを排し徹底した取材による事実の積み上げで顕にしている
当時の日本国内の動勢としては内閣から提出された陳腐な憲法草案と天皇護持の世論、世界からの圧力としてはギリギリに迫ったタイムリミット、そして当のGHQも決して一枚岩ではなかった内情
それを知れば、賛否を越えて当時の状況の中で少なくともいい加減に作られたものではなかったことだけは誰にもわかるだろう
そして、そこからは今を生きる我々の義務だ
現行憲法に、その内容に、なにか不都合はあるだろうか?
という命題を改めて自身の理性と誠意にかけて問い直す足場ができる