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最も参考になったカスタマーレビュー
5つ星のうち 5.0
裁かれる者は誰か,
By Eucharist "Okays" (山梨市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 日本国憲法と裁判官 -戦後司法の証言とよりよき司法への提言 (単行本(ソフトカバー))
1911年1月18日に死刑24名、有期刑2名の判決(鶴丈一郎裁判長)。1月24日に幸徳秋水、森近運平、宮下太吉、新村忠雄、古河力作、奥宮健之、大石誠之助、成石平四郎、松尾卯一太、新見卯一郎、内山愚童ら11名が、1月25日に管野スガが処刑された。特赦無期刑で獄死したのは、高木顕明、峯尾節堂、岡本一郎、三浦安太郎、佐々木道元の5人。仮出獄できた者は坂本清馬、成石勘三郎、崎久保誓一、武田九平、飛松与次郎、岡林寅松、小松丑治。大逆事件の判決と刑執行から100年を経た。いまやその冤罪を疑う者はいない。しかし日本の裁判所は未だにこの誤審を破棄せず、再審請求にも応じていない。──2010年3月26日、宇都宮地裁(佐藤正信裁判長)は足利事件の被告人菅家利和さん再審無罪の判決を下した。1993年7月7日の宇都宮地裁(久保真人裁判長)の無期懲役判決から17年。日本の裁判所はこの100年の間にいかに進歩したのか。戦後憲法はこの国の裁判制度の民主化にどのような効果を与えたのか。 本書は日本国憲法の下で裁判官を務めてきた30名の裁判官による戦後司法改革の証言集(講演記録)であり、戦後民主主義の史料として注目に値する。大逆事件の再審請求が不可能だとして却下され続けてきたのは、司法当局によって戦後直ちに裁判記録の殆どが廃棄された結果であるが、本書の各証言は戦後の破棄されていない裁判記録を読み解く上で不可欠の資料となるであろう。それとともに、刑事裁判への国民の参加が強制された最近の司法改革──裁判員制度の合憲性を考えるための恰好の参考書でもある。 裁判員制度導入によって国民の量刑感覚が反映されるなどの効果が期待されるといわれているが、本書中の「良心論と量刑論」(須藤繁氏)を読むと、日本国憲法下の裁判において量刑の基準さえ不確かであり、裁判官の良心とは全くのブラックボックスの中にあることが「良心的に」告白されていることに愕然とする。日本国憲法にも規定されていない「裁判員受任の義務」を強制された裁判員による量刑判決の危険性は、図らずも本書通読によって評者の確信となった。
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