日本が官僚主導の国家であることを民主党政権奪取前によくここまで書いたと思うほど、躊躇なく描ききっている。筆者の勇気と決断に拍手を送りたい。官僚は優秀な面もあるが、天下り先の確保を始めとする自己保存・内部の都合で政策誘導する、国民にとって許し難い論理で動いている面もある。自負のあまりか、民間のなすべき事業に馬鹿な予算をつけたりする。つまり日本はほぼ官僚独裁なのだ。これに切り込んだ(小泉)・阿部・麻生内閣、そして小沢一郎は官僚にはめられて退陣に追い込まれたと著者は説く。官僚の中にも純粋に国民の役に立ちたいという願いはあった。しかしそれがどう変質していくのか官僚が新聞(メディア)をどう利用しているか、どうして新聞は官僚のいいなりになるのか、説得力をもって分析している。それは一応ひととおりの記述のある最近の高校の教科書と比較にならないくらい生々しくわかりやすい。
ただしここまで日本をダメにしてきた官僚機構をただ糾弾するのではなく、それが形作られた背景を洗い出し、二度とこのような骨なしの統制機構が働かないようにするということが大切である。我々はメディアの情報だけを信じてはならない、もっと広く情報を集めて分析し、まともな人間・政党を舵取り役に据えねばならないと暗に警告していると思う。